品質管理記録は是正まで追えて意味が出る

公開 2026年7月21日

目次8項目

品質管理記録は、施工したものが決められた仕様どおりかを確かめた記録です。一般には、検査の項目ごとに測った値や確認した内容を書き、写真とあわせて残す形が広く使われています。

一方で、検査で指摘が出たときの扱いは現場によって差があります。その場で直して終わり、という形が多く、直した記録が残らないことがあります。

ポイントはここです。品質管理記録が後から使えるかどうかは、指摘と是正が同じ番号でつながっているかで決まります。

ここでは、品質管理記録について、つながらなくなる理由、番号で結ぶ方法、写真の残し方、そして引渡しへの流し方を順に整理します。

品質管理記録で指摘と是正がつながらない理由

品質管理記録で指摘と是正がつながらないのは、出る場所と報告される場所が違うためです。

指摘は、検査や立会の場で出ます。口頭であったり、図面に印を付ける形であったり、メモで渡されたりします。様式が決まっていないことが多く、記録として残らないことがあります。

是正の報告は、後日になります。直した写真を送る、次の打合せで報告する。こちらは記録に残りますが、どの指摘に対するものかが書かれていないことがあります。

「直しました」という報告だけでは、どれを直したのか分かりません。指摘が10件あって報告が7件なら、残り3件がどうなったかを追えません。

そのため、指摘が出た時点で番号を振る形が要ります。番号があれば、是正の報告と結べます。

一方で、番号を振るのは指摘を受けた側でも構いません。相手が番号を付けてくれなくても、自社で受けた順に振れば足ります。大事なのは、指摘と是正が同じ言葉で呼ばれていることです。

そのうえで、番号には日付を入れておくと後から探しやすくなります。工事が長いと、番号だけでは時期が分からなくなります。

品質管理記録(指摘)
指摘番号指摘日部位内容期限
是正の報告
指摘番号部位是正日確認者写真
合わせるのは指摘番号と部位。番号があれば、残っている指摘が一目で分かる

品質管理記録で残す範囲を決める

品質管理記録は、全部を同じ密度で残そうとすると続きません。残す範囲を先に決めると、必要な部分が厚くなります。

発注者が定める要領がある場合は、それに従います。公共工事では、管理する項目と頻度が定められていることが多くあります。

要領が無い場合は、2つに絞ると現実的です。後から隠れてしまう部分と、やり直しがきかない部分。

隠れる部分は、埋め戻す配管、塗り込める下地、天井裏に納まる設備。いずれも完成後には確認できません。

やり直しがきかない部分は、躯体、防水、断熱。後から直そうとすると、周りを壊すことになります。

この2つに絞ると、残す量は大きく減ります。そのぶん、残したものの密度を上げられます。

一方で、絞った結果として記録が無い部分が出ます。後から「なぜ記録が無いのか」と問われたときに答えられるよう、残す範囲を決めた理由も書いておくと説明ができます。

品質管理記録と写真の組み合わせ

品質管理記録は、数値だけより写真と組み合わせたほうが伝わります。数値は結果で、写真はその場の状況だからです。

測った値が基準内であることは、記録の数字で示せます。一方で、正しい場所を正しい方法で測ったかどうかは、写真がないと示せません。

そのため、測定している場面を撮っておく形が広く使われています。測点、測定器、そして測っている状況が1枚に入っていると、後から説明しやすくなります。

是正の側でも同じです。直した後の写真だけでなく、直す前の写真があると比べられます。直す前を撮り忘れると、何がどう変わったかを示せません。

そのうえで、写真と記録をつなぐのは番号です。撮影の黒板に指摘番号を入れておけば、写真から記録を引けます。

一方で、全部の写真に番号を入れるのは負担です。是正に関わる写真だけに絞ると、手間と効果のつり合いが取れます。

  • 検査・立会 指摘に番号を振る 品質管理記録番号は自社で振ってもよい
  • 指摘 直す前の写真を撮る 是正の作業撮り忘れると比べられない
  • 是正 同じ番号で報告する 是正の記録番号が無いとどれを直したか分からない
  • 残っている指摘 期限を過ぎた行を見る 引渡し前の確認終盤に集中させない
品質管理記録は、番号が通っていると残りが一目で分かる

品質管理記録を引渡しにつなぐ

品質管理記録は、引渡しの段階でまとめて使われます。指摘が全部片付いているかを確かめる材料になるためです。

引渡し書類のチェックリストには、提出する記録の一覧が並びます。品質管理記録もその1つで、是正が残っていると引渡しが止まります。

そのため、工事の終盤になってから残りを数えると、件数が多くて慌てることになります。出た時点で直しておくほうが、結果として早く終わります。

隠れてしまう部分の是正は、終盤には直せません。天井を張ってから内部の指摘が残っていると、剥がすことになります。

そのうえで、引渡しの前に一度、残っている指摘を一覧で確認する場を作ると漏れません。期限を過ぎている行だけを見れば、数分で済みます。

一方で、引渡し後に出てくる指摘もあります。使い始めてから分かる不具合です。この場合は、施工時の記録が原因を調べる材料になります。

品質管理記録が引渡し後に使われる場面

品質管理記録は、引渡しの後にも使われます。不具合が出たときに、施工時の状況を確かめるためです。

見られるのは、施工した時期と方法、そして検査の結果です。記録が残っていれば、施工時点では基準を満たしていたことを示せます。

逆に、記録が無いと「そもそも確かめたのか」という話から始まります。直す費用を誰が持つかの前に、経緯の確認で時間がかかります。

隠れる部分ほど、後から効いてきます。見える部分は現地で確かめられますが、隠れている部分は記録と写真しかありません。

そのため、引渡しのときに記録を1か所にまとめて渡しておく形が広く使われています。自社にも控えを残しておくと、問い合わせに答えられます。

一方で、保存の年数は書類の種類で違います。工事の記録には長く残すものと、工事が終われば役目を終えるものが混ざっています。種類ごとに整理しておくと、処分の判断がつきます。

品質管理記録でAIが担える範囲

品質管理記録でAIが担えるのは、整理することと残りを出すことです。合否の判断は人が行います。

整理の側では、指摘と是正の報告を番号で突き合わせる処理があります。番号が付いていない記録から、部位と日付で候補を出すこともできます。

残りを出す側では、是正の報告が無い指摘を一覧にする処理です。表計算でもできますが、指摘が数百件になる工事では見落としが出ます。

もう1つ、要領から管理すべき項目を探す使い方もあります。公共工事の要領は分量が多く、自社の工種に関わる部分はその一部です。当たりを付けてから原文を読む形にすると、読む範囲が絞れます。

一方で、測った値が基準内かどうかの判断は、機械的に見えて任せきれません。許容の範囲は条件で変わり、例外の扱いも要領に書かれています。

そのため、道具に期待するのは「突き合わせ」と「残りを出す」ところまでにしておくと、期待とずれずに済みます。

品質管理記録を下請から集める

品質管理記録は、自社で作るものと下請から出してもらうものがあります。後者が遅れると、まとめる段階で止まります。

下請が持っている記録には、その会社しか撮れない写真があります。隠れる部分の施工状況や、材料の検収の記録です。

集まらない原因は、いつ出すかが決まっていないことです。工事の完了時にまとめて頼むと、相手にとっては終わった工事の作業になります。

そのため、その工種が終わった時点で出してもらう形にしておくと、記憶も新しく優先度も下がっていません。

あわせて、何を出してもらうかを契約の段階で決めておくと確実です。注文書に書いてあれば、催促ではなく確認になります。

一方で、様式を細かく指定すると出てきにくくなります。写真と日付があれば足りるという程度にしておくと、集まり方が変わります。

品質管理記録を小さく整える順序

品質管理記録は、番号を振るところから整えられます。様式を作り直す必要はありません。

続きやすいのは次の形です。

  1. 指摘を受けたら、その場で番号を振る(日付を含めた番号にする)
  2. 残す範囲を決める(隠れる部分・やり直しがきかない部分)
  3. 直す前と直した後の写真を、同じ番号で撮る
  4. 週に1回、期限を過ぎた指摘だけを見る
  5. 引渡しの前に、残っている指摘を一覧で確認する

1つめが全部の土台になります。番号が無いと、後の工程が全部つながりません。

そのうえで、2つめを決めておくと現場の負担が予測できます。何を残すかが分からないまま始めると、撮る量が際限なく増えます。

一方で、発注者の要領がある工事では、そちらが優先されます。着手の段階で要領を確認しておくと、後でそろえ直す作業が減ります。

最後に、この番号は安全パトロールの指摘とも似た構造です。どちらも「指摘して、直して、確かめる」という流れなので、同じ形で管理できます。

そのうえで、2つを同じ表に混ぜないほうが読みやすくなります。品質は仕様に対する話、安全は危険に対する話なので、見る人も対応する人も違うためです。番号の付け方だけそろえて、表は分けておく形にすると、どちらも扱えます。

あわせて、指摘が多く出る工種は決まっていることがあります。数件たまってきたら、工種ごとに数えてみると傾向が見えます。

一方で、指摘が少ないことが良いとは限りません。検査そのものが甘いと、指摘は出ません。件数だけを目標にすると、見つけない方向に働くことがあります。

そのため、件数より「是正までの日数」を見るほうが実態に近くなります。指摘が出てから直るまでが短い現場は、回っている現場です。

日数の長いものが溜まっている現場は、手が足りていないか、直しにくい指摘が出ているかのどちらかです。どちらなのかで、次に打つ手が変わります。

一方で、日数がかかること自体が悪いわけではありません。材料の手配が要る是正は、どうしても日数がかかります。内容を見ずに日数だけで判断すると、急ぐ必要のないものを急がせることになります。

よくある質問

品質管理記録は、どこまで細かく残すものですか。

発注者が定める要領がある場合はそれに従います。無い場合は、**後から隠れる部分と、やり直しがきかない部分**に絞ると量が現実的になります。全部を同じ密度で残そうとすると、いちばん必要な部分も薄くなります。

指摘と是正がつながらなくなるのはなぜですか。

指摘は口頭やメモで出て、是正は別の場で報告されることが多いためです。番号を付けて、指摘と是正を同じ番号で結ぶ形にすると追えます。**番号が無いまま「直しました」と言われても、どれを直したか分かりません。**

引渡しの前にまとめて直す形でも良いですか。

直すこと自体はできますが、隠れてしまう部分は直せません。また、引渡し前に件数が集中すると、工期の終盤に人手が要ります。**出た時点で直すほうが、結果として早く終わる**ことが多くあります。

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