施工体系図は再下請負通知書から組み上がる

公開 2026年8月10日

目次8項目

施工体系図は、その工事に入っている会社の構造を図にしたものです。一般には、元請を頂点にして、一次、二次、三次の下請が枝分かれする形で示されます。

建設業法は、施工体制台帳を作成する工事について、施工体系図を作成して現場の見やすい場所に掲げることを求めているとされています。掲示することが求められている点が、他の書類と違うところです。

ポイントはここです。施工体系図は自分で書くものではなく、再下請負通知書が集まった結果として組み上がるものです。

ここでは、施工体系図について、通知が集まらない理由、二次以下の広げ方、途中の変更、そして台帳との関係を順に整理します。

施工体系図が組み上がらない理由

施工体系図が組み上がらないのは、元になる通知が集まらないためです。図そのものを書くことは難しくありません。

再下請負通知書は、一次の下請が自社の情報と、自社が発注した会社を書いて出す書類です。そこに二次の会社名が書かれていて、初めて二次の存在が分かります。

二次の会社がさらに三次へ発注していれば、二次からも通知が上がってくる必要があります。

つまり、下から順に積み上がらないと図が完成しません。どこか1社で止まると、その下は見えないままです。

集まらない原因は、様式の重さと、出す理由が伝わっていないことです。「なぜ出すのか」が分からないまま様式だけ渡されると、後回しになります。

そのため、着手の説明のときに、通知が体系図と作業員名簿の元になることを伝えておくと出てきやすくなります。出す側にとっても、自社の名簿が正しく載るための書類になります。

一方で、再下請負が無い会社もあります。その場合は「再下請負人なし」と明記して提出する形が広く使われています。出さないと、確認できていないのか無いのかが分かりません。

  • 一次の下請 自社と発注先を書く 再下請負通知書再下請が無い場合も「なし」で出す
  • 通知に書かれた二次 同じ様式で上げてもらう 二次からの通知どこか1社で止まると下が見えない
  • 集まった通知 階層で並べ直す 施工体系図書く作業ではなく積み上がった結果
  • 施工体系図 見やすい場所に掲げる 掲示掲示まで求められている点が他と違う
施工体系図は、1つめから3つめまでが下から積み上がって初めて完成する

施工体系図を二次以下まで広げる

施工体系図を二次以下まで広げるには、一次の会社に協力してもらう必要があります。ここが実務でいちばん手間のかかる部分です。

一次の会社にとって、自社の発注先を書いて出すことは手間が増える作業です。理由が分からないと、優先度が下がります。

そのため、着手の段階で一覧にして渡す形が扱いやすくなります。誰に何をいつまでに出してもらうか。この3つが書いてあれば、相手も段取りが組めます。

通知が届いていない会社を追いかける担当を決めておくと止まりません。出したあとは相手の時間なので、こちらから聞かないかぎり進みません。

そのうえで、二次の会社へ直接頼むのは避けます。契約の関係が一次を通っているため、順序を飛ばすと話がこじれます。

一方で、二次以下が多い工事では、集まるまでに日数がかかります。着工に間に合わせるには、契約が決まった時点で通知を求める形にしておくと余裕が出ます。

施工体系図と作業員名簿の関係

施工体系図と作業員名簿は、同じ再下請負通知書から派生します。どちらも「誰がこの工事に入っているか」の情報だからです。

通知には会社の情報が書かれ、名簿には人の情報が書かれます。会社の階層が体系図、その会社の人が名簿という関係です。

そのため、体系図に載っていない会社の名簿が出てきたら、通知が抜けています。逆に、通知はあるのに名簿が無ければ、まだ人が入っていない状態です。

この2つを突き合わせると、抜けている書類が分かります。工事の途中で会社が増えたときも、名簿の側から気づけることがあります。

そのうえで、安全書類のサービスを使っている現場では、この突き合わせが自動で行われることがあります。通知を登録すると、名簿の入力が求められる形です。

一方で、紙で回している現場では人が確かめることになります。体系図に載っている会社の数と、名簿の枚数を照らすという単純な確認で、ほとんどの抜けは見つかります。

再下請負通知書
会社名階層発注元工事内容工期
作業員名簿
会社名氏名職種資格入場期間
合わせるのは会社名。通知にあって名簿が無い、名簿にあって通知が無い、が見つかる

施工体系図を途中で直す

施工体系図は、着工時に作って終わりではありません。工事の途中で下請が増えれば、その都度直します。

体系図も台帳も、内容が変わったら直すものとされています。新しい会社が入った時点で通知を出してもらい、掲示も更新するという流れです。

ここで止まりやすいのは、掲示の更新です。図を直しても、現場に貼ってあるものが古いままということがあります。

掲示されているものが実態と違うと、確認した人が誤った情報を見ることになります。図を直したら貼り替える、という一組にしておくと抜けません。

そのうえで、直した日を記録しておくと経緯が分かります。いつの時点でどういう構造だったかが、後から読めます。

一方で、短期で出入りする会社まで全部反映しようとすると更新が追いつきません。1日だけ入る応援の扱いをどうするかは、着手時に元請と決めておくと現場で迷いません。

施工体系図と施工体制台帳の使い分け

施工体系図と施工体制台帳は、同じ情報を別の形で示しています。図と表の違いです。

台帳は、下請ごとの詳細を並べます。会社の情報、契約の内容、工期、主任技術者の氏名など。細かい情報が入るぶん、全体の構造は読み取りにくくなります。

体系図は、階層と枝分かれを示します。誰が誰に発注しているかが一目で分かる一方、金額などの詳細は載りません。

そのため、先に台帳を埋めて、そこから体系図を起こすという順番にすると、二重に調べる手間がなくなります。

台帳には添付する書類もあります。契約書の写し、技術者の資格を示すもの、再下請負通知書など。工事によって求められる範囲が変わるため、着手時の確認が要ります。

一方で、どちらも作成の義務が生じる工事は決まっています。発注者から直接請け負った建設業者が、一定の場合に作成するものとされています。自社が作る側かどうかは、契約の位置で決まります。

施工体系図でAIが担える範囲

施工体系図でAIが担えるのは、整理することと抜けを出すことです。構造そのものは契約が決めます。

整理の側では、集まった通知から階層を組み立てる処理があります。誰が誰に発注したかが書かれていれば、並べ替えるだけで図の元になります。

抜けを出す側では、通知と名簿を突き合わせて、片方にしか無い会社を挙げる処理です。工事の規模が大きいほど、手作業では見落としが出ます。

もう1つ、届いていない通知を追う一覧を作る使い方もあります。契約した会社の一覧と、通知が届いた会社の一覧を照らす形です。

一方で、階層の判断が要る場面もあります。同じ会社が複数の経路で入っている、一次と二次を兼ねている。こうした形は、契約を見て人が判断します。

そのため、道具に期待するのは「並べ替え」と「抜けの発見」までにしておくと、期待とずれずに済みます。

施工体系図に載る技術者の扱い

施工体系図には、会社だけでなく技術者の情報も載ります。誰がその工事を担当しているかを示すためです。

載るのは、主任技術者や監理技術者の氏名です。配置が決まっていないと、図が完成しません。

そのため、契約の段階で技術者の配置も決めておく形になります。資格を持つ人が足りないと、受注そのものに影響します。

技術者は、工事の規模や種類によって要件が変わります。専任が求められる工事では、他の現場と掛け持ちができません。

そのうえで、途中で技術者が替わることもあります。その場合は体系図も直し、掲示も貼り替えます。誰がいつから担当したかを記録に残しておくと経緯が分かります。

一方で、技術者の資格と配置の管理は、社内の資格の一覧とつながります。誰がどの資格を持っているかが分かっていれば、配置の検討が早く終わります。

施工体系図を小さく整える順序

施工体系図は、通知の集め方を決めるところから整えられます。図の書き方より、集める段取りが本体です。

続きやすいのは次の形です。

  1. 契約が決まった時点で、再下請負通知書を求める
  2. 誰に何をいつまでに出してもらうかを、一覧にして渡す
  3. 届いていない会社を追いかける担当を決める
  4. 台帳を先に埋めて、そこから体系図を起こす
  5. 会社が増えたら、図を直して掲示も貼り替える

1つめを着工前ではなく契約時にすると、集まる時間が長く取れます。着工の直前に求めると、二次以下が間に合いません。

そのうえで、5つめの貼り替えを一組にしておくと、掲示が古いまま残る状態が消えます。

一方で、下請が一次だけの工事では、この手間はほとんどかかりません。二次以下が入る工事かどうかで、必要な段取りが変わります。

最後に、この一覧は作業員名簿の管理とも重なります。会社名でつながっているので、片方を整えるともう片方の抜けにも気づけます。

そのうえで、安全書類のサービスを使っている現場では、この作業の多くが仕組みの側で処理されます。通知を登録すると体系図が組み上がる形です。ただし、通知を出してもらう段取りは変わりません。集める手間は、紙でも電子でも同じところにあります。

あわせて、複数の元請と取引がある会社では、現場ごとに違うサービスを使うことになります。入力する内容は同じなので、社内で会社の情報をそろえておけば手間は増えません。

一方で、自社が元請として作る側になる工事では、集める側の段取りが要ります。下請として出す側の経験があると、何が負担なのかが分かるので、求め方も変わってきます。

そのうえで、体系図は掲示するものなので、見やすさも求められます。会社の数が多いと、字が小さくなって読めなくなります。階層ごとに線の太さを変える、主要な会社を大きく書くといった工夫で、見る人に伝わる形になります。

一方で、様式が指定されている場合はその形に従います。掲示の場所や大きさまで指示があることもあるため、着手の段階で確認しておくと貼り直しになりません。

よくある質問

施工体系図は、どこに掲示するものですか。

工事現場の見やすい場所に掲げることが求められているとされています。公共工事では、工事関係者が見る場所と公衆が見やすい場所の両方が求められる場合があります。掲示の場所は発注者の指示で変わることがあるため、着手時に確認しておくと手戻りがありません。

二次や三次の下請まで書くのですか。

その工事に入っているすべての下請を示す形が原則とされています。**一次の会社から再下請負通知書が上がってこないと、二次以下が分かりません。**通知を集めることが、体系図を作る作業そのものになります。

途中で下請が増えたときはどうしますか。

体系図も台帳も、内容が変わったら直すものとされています。新しい会社が入った時点で通知を出してもらい、その都度更新する形です。工事の終わりにまとめて直すと、その期間の掲示が実態と違っていたことになります。

関連するテンプレート

関連する記事