経営事項審査とは?流れと準備する書類・評点の見方

公開 2026年9月1日

目次8項目

公共工事に入札で参加するには、その前に受けておく審査があります。決算が終わってから動き始めると、結果が出るまでに入札の時期が過ぎてしまいます。

一般には、決算日を審査基準日として、決算変更届・経営状況分析・経営規模等評価と進みます。前の手続きが終わらないと次に進めないつくりのため、どこかで止まると全体が遅れます。結果の通知には有効期間があり、切れると入札に参加できなくなります。

ポイントはここです。経営事項審査は、決算日を審査基準日として、そこから逆算して動く手続きになります

ここでは、評価される内容、受けるまでの流れ、そろえる書類、そして有効期間の管理を順に整理します。

経営事項審査とは何を評価する仕組みか

経営事項審査は、規模・経営状況・技術と社会性を数字にする仕組みです。公共工事の発注者が、入札に参加する会社を選ぶときの資料になります。

  • 規模完成工事高と資本
  • 経営状況財務の健全さ
  • 技術と社会性技術者と制度への対応
経営事項審査は、規模・経営状況・技術と社会性を見る

規模と技術は、事業の実績から決まります

一方で社会性の部分は、制度への加入といった手続きで積み上げられます。

総合評定値は複数の項目を合わせた数字

この場合、完成工事高、技術力、経営状況といった項目に、それぞれ点数が付きます。それらを一定の割合で合わせたものが総合評定値です。

どの項目にどれだけの重みがあるかは、算出の方法として定められています。その方法は改正されることがあるため、最新の内容を確かめます。

発注者が入札参加者を選ぶ資料になる

発注者は総合評定値をもとに、会社を等級に分けます。その等級によって、参加できる工事の規模が変わります。

評点が変わると、参加できる工事の幅が変わります

下請だけの会社は対象にならない

経営事項審査は、公共工事を発注者から直接請け負う会社が対象です。下請として入るだけであれば、受ける必要はありません。

そのため自社の受注の形を先に確かめます。

経営事項審査を受ける必要がある会社

入札に参加する予定があるかどうかが、最初の分かれ目になります。

  1. 公共工事に入札で参加する予定があるか はい次へ いいえ対象にならない
  2. 発注者から直接請け負う立場か はい次へ いいえ下請のため対象にならない
  3. 建設業許可を受けているか はい次へ いいえまず許可を取得する
  4. 決算変更届を出しているか はい申請に進める いいえ未提出の年度を出す

入札に参加する予定があるかどうかが、最初の分かれ目になる

経営事項審査を受けるかどうかの見分け方

最後の決算変更届が溜まっていると、そこから片付けることになります。数年分をまとめて作ると、それだけで数か月かかります。

参加したい発注者の要件を先に見る

発注者によって、入札参加資格の要件や申請の時期が違います。必要な評点の水準も変わります。

参加したい発注者の要件を先に見ておくと、いつまでに何をするかが決まります。

入札参加資格の申請とは別の手続きになる

経営事項審査を受けても、それだけでは入札に参加できません。発注者ごとの入札参加資格の申請が別に要ります。

申請の受付は時期が決まっている発注者が多くあります。その時期に間に合うよう、審査の結果を受け取っておきます。

受けない選択もある

民間の工事だけを請けている会社や、下請が中心の会社では、受けなくても営業に支障はありません。

準備には手間がかかるため、公共工事に入るかどうかの方針を先に決めます。

経営事項審査を受けるまでの流れ

経営事項審査は、決算日を起点に4つの手続きが順に続きます。

  1. 1 決算の確定 審査基準日になる
  2. 2 決算変更届 4か月以内に提出
  3. 3 経営状況分析 登録分析機関へ申請
  4. 4 経営規模等評価 許可行政庁へ申請
  5. 5 総合評定値の請求 結果の通知を受ける
決算日を起点に、4つの手続きが順に続く

経営状況分析の結果が出ないと、経営規模等評価の申請に進めません

決算変更届が前提になる

経営事項審査の申請には、決算変更届を出していることが前提になります。未提出の年度があれば、先に出します。

毎年出していれば、この段階で止まりません。

経営状況分析は登録機関へ出す

経営状況の分析は、登録されている分析機関に申請します。許可行政庁への申請とは別の窓口です。

機関によって結果が出るまでの日数が違います。早めに申請しておくと、次の手続きに進めます。

総合評定値の請求まで行う

経営規模等評価の申請だけでは、総合評定値の通知が出ません。あわせて総合評定値の請求を行います。

入札参加資格の申請で求められるのは、この通知書です。

申請の窓口と手数料を確かめる

経営規模等評価の申請は、許可を受けている行政庁に出します。知事許可であれば都道府県、大臣許可であれば地方整備局が窓口になります。

手数料は申請する業種の数で変わります。業種を多く持っている会社ほど、その分の費用がかかります。

経営事項審査の評点の構成

経営事項審査の総合評定値は、いくつかの項目を一定の割合で合わせて出します。

  • 完成工事高 25業種ごとの実績
  • 技術力 25技術者と元請の実績
  • 自己資本と利益 15規模を示す指標
  • 経営状況 20財務の健全さ
  • その他の審査項目 15社会性など
総合評定値に占める重みの目安(算出方法は改正されることがある)

このうち完成工事高と技術力の2つで、半分ほどを占めます。どちらも短期間では動かせない部分です。

完成工事高は業種ごとに見る

完成工事高は、許可を受けている業種ごとに集計します。どの工事をどの業種に振り分けるかで、業種ごとの数字が変わります。

振り分けの基準を毎年そろえておかないと、年によって評点が動きます。

技術力は技術者の数と資格で決まる

技術職員の人数と、その人が持つ資格によって点数が付きます。上位の資格ほど点数が高くなります。

資格の取得は、評点として積み上がる形になります

その他の審査項目は手続きで積める

社会保険への加入や、退職金制度への加入が点数になります。防災協定への参加や、各種の認証の取得も含まれます。

実績のように時間がかかるものではないため、今年から取り組める部分です。

経営事項審査の準備でそろえる書類

準備する書類は、決算・技術者・制度の3つに分かれます。

  • 決算関係財務諸表と工事経歴書
  • 技術者関係資格と常勤の証明
  • 制度関係保険と退職金の加入
準備する書類は、決算・技術者・制度の3つに分かれる

このうち工事経歴書は、その年の工事を後から思い出して作るのが難しい部分です。工事台帳から抽出できる形にしておきます。

区分書類集めるときの目安
決算財務諸表決算の確定後すぐ
決算工事経歴書工事台帳から抽出
技術者資格者証の写し人ごとに整理
技術者常勤を示す資料保険の加入記録など
制度保険の加入証明年度ごとに更新
制度退職金制度の加入建退共の手帳など

工事経歴書を工事台帳から作る

工事台帳に業種と完成した日が入っていれば、抽出するだけで作れます。入っていなければ、1件ずつ確かめることになります。

台帳に業種の欄を置いておくと、この作業が数分で終わります。

技術者の資料を年間で整える

資格者証の写しや、常勤を示す資料を人ごとにまとめておきます。新しく資格を取った人が出たら、その時点で足します。

申請の直前に集めると、退職した人の分が確かめられません。

加入している制度を一覧にする

社会保険、退職金制度、防災協定、各種の認証を一覧にします。どれに加入していて、どれに加入していないかが分かります。

加入していないものは、評点を上げる余地として見られます。

代理で申請してもらう場合の準備

行政書士に依頼する会社が多くあります。その場合も、工事経歴書のもとになる資料は自社で用意します。

台帳が整っていれば、渡す資料をそのまま渡せます。整っていないと、依頼した側で工事を1件ずつ確かめる作業が発生します。

経営事項審査の有効期間

結果の通知には有効期間があり、切れると入札に参加できなくなります。

  • 結果通知の有効期間 19か月 審査基準日から1年7か月
  • 決算変更届の期限 4か月 事業年度終了後4か月以内
  • 分析の申請から結果 1か月 機関により日数が違う
  • 評価の申請から通知 2か月 行政庁により日数が違う
経営事項審査に関わる期間の目安(月数で比較)

ただし有効期間は審査基準日から1年7か月です。毎年受けていれば、次の通知が出るまでに空白は生まれません。

空白期間を作らない

前の通知が切れる前に、次の通知を受け取る必要があります。1年に1回受ける形にしておけば、空白は生まれません。

逆に1年空けると、その間は入札に参加できません。

申請の混み具合を見込む

決算期が集中する時期は、分析機関も行政庁も混み合います。結果が出るまでの日数が普段より長くなります。

混み合う時期を見込んで前倒しすると、空白が生まれません。

決算日を変える場合は影響を確認する

決算日を変更すると、審査基準日も変わります。有効期間の切れ方にも影響します。

変更を検討する段階で、許可行政庁に確かめておきます。

経営事項審査でつまずきやすいところ

経営事項審査の準備に時間がかかる原因は、日常の記録の取り方にあります。

  1. 工事台帳に業種が入っているか はい次へ いいえ台帳に業種の欄を足す
  2. 完成した日が台帳にあるか はい次へ いいえ竣工の手続きに組み込む
  3. 技術者の資格を一覧にしているか はい次へ いいえ名簿に資格の欄を足す
  4. 加入している制度を把握しているか はい準備ができている状態 いいえ一覧を作る

4つが整っていると、申請の準備が数日で終わる

経営事項審査の準備ができているかの確認

どれも申請のためだけの作業ではなく、日常の記録に欄を足すだけの話です。

業種の振り分けを毎年そろえる

同じような工事が、年によって違う業種に振り分けられることがあります。そうすると、業種ごとの完成工事高が実態と違う動き方をします。

振り分けの基準を紙に書いて、毎年それを見ながら作ります。

完成工事高の計上時期をそろえる

引渡しをもって完成とするのか、検査の終了とするのかを決めます。期をまたぐ工事で、どちらの年度に入るかが変わります。

工事台帳の完成の日と、経理の処理をそろえておきます。

技術者の異動を反映する

退職した人を技術職員として数えると、後から修正になります。審査基準日の時点で在籍している人を数えます。

労働者名簿と技術者の一覧を、同じ時点で確かめます。

虚偽の申請は許可にも影響する

完成工事高を実際より大きく申請したり、在籍していない技術者を数えたりすると、評点の訂正だけでなく許可そのものに影響が及びます。

数字の根拠になる書類を残しておく形にしておけば、後から確認を受けたときにも説明できます。

経営事項審査の評点を上げる

評点を上げる方法は、時間のかかる部分と今年から積める部分に分かれます。

時間のかかる部分

  • 完成工事高
  • 自己資本と利益
  • 技術職員の人数
  • 元請としての実績

手続きで積める部分

  • 社会保険の加入
  • 退職金制度の加入
  • 防災協定への参加
  • 各種の認証の取得
実績は時間がかかるが、手続きは今年から積める

右側は、加入や取得の手続きを踏めばその年から反映されます。まず右側で取りこぼしがないかを確かめる形が現実的です。

加入していない制度を確認する

加入できるのに加入していない制度がないかを確かめます。建設業退職金共済や、中小企業退職金共済が対象になります。

加入の手続きにかかる期間も、審査基準日から逆算して見ます。

技術者の資格取得を支援する

技術職員が上位の資格を取ると、点数が上がります。受験の費用や講習の費用を会社が負担する形があります。

資格の取得は、評点と現場の配置の両方に効いてきます

決算の内容を意識する

経営状況の分析では、負債の割合や利益の状況が見られます。決算の内容がそのまま点数になります。

決算の直前ではなく、期の途中から意識する形になります。

前年の結果と比べる

通知を受け取ったら、前年の結果と項目ごとに比べます。どの項目が下がったのかが分かれば、次の年に手を打てます。

完成工事高が下がったのか、技術職員が減ったのかで対策が変わります。比べた結果を残しておくと、数年の推移も見えます。

様式は経営事項審査 準備チェックリストからダウンロードできます。工事経歴書のもとになる記録は工事台帳にまとめています。

よくある質問

経営事項審査は誰が受けるのですか。

公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受ける形になっています。下請としてのみ工事を行う会社は、対象になりません。入札に参加する予定があるかどうかが、受けるかどうかの分かれ目になります。

結果の通知はいつまで有効ですか。

審査基準日から1年7か月とされています。決算日を審査基準日とするため、毎年の決算のあとに受け直す形になります。空白の期間ができると、その間は入札に参加できません。

評点はすぐに上がりますか。

完成工事高や技術職員の数は、短期間では大きく動きません。一方で、加入している制度や取得している認証など、手続きで積み上げられる項目もあります。時間のかかるものと、すぐに手を打てるものを分けて考えると進めやすくなります。

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