建設業許可の更新と変更届|期限の管理表の作り方
公開 2026年9月1日
目次8項目
- 1建設業許可とは何を認める制度か
- 業種ごとに取得する
- 大臣許可と知事許可がある
- 軽微な工事だけなら許可は要らない
- 許可証の掲示と記載事項を確かめる
- 2建設業許可が必要になる工事の規模
- 金額の線は案内で確認する
- 分割して請けても合算で見る
- 業種の追加は時間を見込む
- 3建設業許可の要件
- 専任技術者は営業所ごとに置く
- 財産的基礎は決算で見られる
- 役員の変更時に欠格要件を確認する
- 専任技術者と現場の技術者を混同しない
- 4建設業許可の更新の時期
- 決算変更届を毎年出す
- 更新の準備は3か月前から
- 期限を過ぎると取り直しになる
- 5建設業許可の変更届の種類と期限
- 2週間の期限があるものを先に把握する
- 移転は決まった時点で準備する
- 届出の控えを保管する
- 廃業や業種の廃止も届出が要る
- 6建設業許可の管理表に書く項目
- 満了日から逆算した日を書く
- 要件を担う人の名前を書く
- 届出の履歴を残す
- 更新の申請中でも工事は請けられる
- 7建設業許可でつまずきやすいところ
- 決算変更届の未提出をためない
- 工事経歴書の作り方をそろえる
- 許可なしで請けられる範囲を社内で共有する
- 8建設業許可を切らさない形にする
- 年間の予定表に入れる
- 人事の情報と結びつける
- 電子申請の準備をしておく
許可の満了日を過ぎてしまうと、更新ではなく新規の取り直しになります。その間は許可が必要な工事を請けられず、営業そのものが止まります。
一般には、許可の有効期間は5年で、満了の30日前までに更新の申請を出します。そのほかに毎年の決算変更届と、役員や技術者が代わったときの変更届があります。これらは期限がそれぞれ違うため、1つの管理表で追わないと抜けます。
ポイントはここです。建設業許可は、取ることより切らさないことのほうが手間のかかる制度になります。
ここでは、許可の区分と要件、更新と変更届の期限、そして期限を切らさない管理の形を順に整理します。
建設業許可とは何を認める制度か
建設業許可は、一般建設業と特定建設業に分かれます。元請として下請に出す金額の大きさで、区分が変わります。
一般建設業の許可
- 下請に出す金額が小さい
- 元請にも下請にもなれる
- 財産的基礎の要件が緩い
- 多くの会社が取得する
特定建設業の許可
- 元請として大きく下請に出す
- 下請代金の額に線がある
- 財産的基礎の要件が厳しい
- 監理技術者の配置が要る
自社が下請として働く場合は、金額にかかわらず一般の許可で足ります。
特定が必要になるのは、元請として一定額以上を下請に出すときだけです。
業種ごとに取得する
許可は業種ごとに取ります。土木一式、建築一式のほか、とび・土工、内装仕上げといった専門の業種に分かれています。
持っていない業種の工事は、軽微な工事の範囲を超えると請けられません。請け負う業種の許可があるかを、受注の前に確かめます。
大臣許可と知事許可がある
営業所が1つの都道府県だけにあれば知事許可、複数の都道府県にまたがれば大臣許可になります。
営業所を増やすときは、許可の区分そのものが変わる場合があります。
軽微な工事だけなら許可は要らない
請負代金が一定額に満たない工事だけを請けるなら、許可は要りません。ただしその金額の線は改正で動きます。
自社が請ける工事の規模を見て、許可を取るかどうかを判断します。
許可証の掲示と記載事項を確かめる
営業所には、許可を受けた業種や許可番号を記した標識を掲げます。記載する内容は定められているため、様式を確かめて作ります。
業種を追加したときや、商号が変わったときは標識も差し替えます。古いままだと、実際の許可の内容と食い違います。
建設業許可が必要になる工事の規模
建設業許可が要るかどうかは、工事の種類と請負代金で決まります。
- 建築一式工事にあたるか はい一式工事の線で判断する いいえ次へ
- 請負代金が軽微な工事の範囲か はい許可がなくても請けられる いいえ次へ
- 元請として大きく下請に出すか はい特定建設業の許可を検討 いいえ一般建設業の許可
- 請け負う業種の許可があるか はい請け負える状態 いいえ業種を追加する
金額の線は改正で動くため、許可行政庁の案内で確認する
建築一式工事とそれ以外では、軽微な工事とされる線が違います。そのため最初にどちらの話かを分けます。
金額の線は案内で確認する
軽微な工事の金額は、法令の改正で動きます。記憶している数字で判断すると、古い線のままになります。
金額はその時点の案内で確認すると、古い数字で判断することがありません。
分割して請けても合算で見る
1つの工事を複数の契約に分けても、正当な理由がなければ合算して判断されます。金額を下げるために分割する形は認められません。
同じ工事の一部かどうかで見る形になります。
業種の追加は時間を見込む
新しい業種を追加するには、その業種の専任技術者が要ります。資格や実務の経験を確かめてから申請します。
受注が決まってから動くと間に合いません。取りたい業種は、前もって準備を始めます。
建設業許可の要件
建設業許可の要件の中心は、体制・技術・財産の3つです。
- 体制経営を管理する能力
- 技術専任技術者の配置
- 財産財産的基礎
このうち体制と技術は人に紐づいています。そのため人が入れ替わるときが、いちばん危ない場面になります。
| 要件 | 内容 | 欠けやすい場面 |
|---|---|---|
| 経営業務の管理体制 | 経営を適正に行う能力 | 役員の交代 |
| 専任技術者 | 営業所ごとに配置 | 技術者の退職 |
| 誠実性 | 不正または不誠実な行為をしない | 役員の変更時に確認 |
| 財産的基礎 | 一定の資本または資金 | 決算の内容が悪化 |
| 欠格要件 | 該当しないこと | 役員の追加時に確認 |
役員や技術者が入れ替わるときに要件を確認する形にしておくと安心です。
専任技術者は営業所ごとに置く
専任技術者は、営業所ごとに常勤している必要があります。現場に出ずっぱりになると、専任と言えなくなる場合があります。
退職や配置転換の話が出た時点で、後任を確かめます。空白の期間を作らないことが、この要件を保つ形になります。
財産的基礎は決算で見られる
自己資本の額や、資金を調達する能力が要件になります。決算の内容が悪化すると、更新のときに問題になります。
決算が確定した時点で、要件を満たしているかを確かめておきます。
役員の変更時に欠格要件を確認する
新しく役員になる人が欠格要件に該当していないかを確かめます。該当する人が1人でもいると、許可そのものが取り消されます。
就任の前に確認する手順を決めておきます。
専任技術者と現場の技術者を混同しない
営業所に常勤する専任技術者と、現場に配置する主任技術者は別の役割です。同じ人が両方を兼ねられる場面は限られます。
人数が少ない会社では、この兼務の可否が問題になります。配置の計画を立てるときに、営業所の専任が空かないかを確かめます。
建設業許可の更新の時期
建設業許可の更新の期限は、許可の日から5年後の満了日で決まります。
満了日の30日前が申請の期限で、その前に書類をそろえる必要があります。そのため実際の準備は3か月前から始まります。
決算変更届を毎年出す
決算変更届は、事業年度が終わってから4か月以内に出します。毎年のことですが、これが溜まっていると更新のときに止まります。
未提出の年度があれば、まとめて出してから更新の申請になります。
更新の準備は3か月前から
登記事項証明書や納税の証明書は、取り寄せに時間がかかります。技術者の資格の確認も要ります。
準備を3か月前から始めておくと、書類の取り寄せが間に合います。
期限を過ぎると取り直しになる
満了日を過ぎると、その許可は効力を失います。更新ではなく、新規の申請として一からやり直しになります。
その間は許可が必要な工事を請けられません。
建設業許可の変更届の種類と期限
建設業許可の変更届は、内容によって期限が違います。
いちばん短いのが2週間で、要件に直結する2つがそこに入ります。そのため人事の話が出た時点で、届出の準備に入る必要があります。
| 変更の内容 | 提出の期限 | 気をつけるところ |
|---|---|---|
| 商号・営業所の所在地 | 変更後30日以内 | 移転の予定が決まった時点で準備 |
| 資本金・役員の変更 | 変更後30日以内 | 欠格要件の確認も同時に |
| 経営業務の管理責任者 | 変更後2週間以内 | 期限が短い |
| 専任技術者 | 変更後2週間以内 | 空白期間を作らない |
| 決算変更届 | 事業年度終了後4か月以内 | 毎年必要 |
2週間の期限があるものを先に把握する
経営業務の管理責任者と専任技術者の変更は2週間以内です。気づいたときには過ぎていることがあります。
人事の担当と許可の担当が別の場合、情報が伝わる経路を決めておきます。
移転は決まった時点で準備する
営業所の移転は、決まってから実際に動くまでに時間があります。その間に必要な書類をそろえておきます。
移転の後に慌てると、30日の期限が近づきます。
届出の控えを保管する
出した届出の控えを保管します。控えが残っていないと、出したかどうかを自社で確かめられません。
受付の印がある写しを、許可の書類と一緒にまとめておきます。
廃業や業種の廃止も届出が要る
一部の業種をやめる場合も、届出の対象になります。そのまま放置すると、許可の内容と実態が合わなくなります。
会社の合併や事業の譲渡があるときは、許可の承継の手続きが関わります。早めに許可行政庁へ相談する形にします。
建設業許可の管理表に書く項目
管理表は、許可の情報から次の期限までを1行で追います。
- 1 許可の情報 番号・業種・区分
- 2 有効期間 満了日を書く
- 3 要件の担当 責任者と技術者
- 4 届出の履歴 出した日を残す
- 5 次の期限 更新と決算変更届
複数の業種を持っている場合も、許可の番号と満了日は同じです。そのため1行で管理できます。
満了日から逆算した日を書く
満了日だけでなく、準備を始める日と申請の期限も書きます。毎月見るだけで、動く時期が分かります。
期限が近づいたら色が変わる形にしておくと、見落としません。
要件を担う人の名前を書く
経営業務の管理責任者と専任技術者の名前を書きます。その人が退職や異動の対象になったときに、許可への影響が分かります。
人事の一覧と照らし合わせる形にしておきます。
届出の履歴を残す
いつどの届出を出したかを残します。決算変更届の提出年度が並んでいれば、抜けがその場で分かります。
更新の準備のときに、この履歴から確かめられます。
更新の申請中でも工事は請けられる
満了日の前に申請を出していれば、審査の結果が出るまでの間も従前の許可が有効です。その扱いを知らずに、受注を止めてしまう会社があります。
ただし満了日を過ぎてからの申請は認められません。30日前という期限が、その分かれ目になります。
建設業許可でつまずきやすいところ
建設業許可の期限で慌てる原因は、日常の届出が溜まっていることにあります。
- 許可の満了日を把握しているか はい次へ いいえ許可証から転記する
- 決算変更届を毎年出しているか はい次へ いいえ未提出の年度を確認する
- 要件を担う人が在籍しているか はい次へ いいえ後任を検討する
- 変更届の履歴が残っているか はい管理できている状態 いいえ控えを集めて一覧にする
4つが把握できていれば、期限で慌てることがなくなる
このうち2つ目が溜まっていると、更新の直前に数年分をまとめて作ることになります。
決算変更届の未提出をためない
決算変更届には工事経歴書が要ります。その年の工事を後から思い出して作るのは負担が大きくなります。
決算が確定した時点で作る流れにしておきます。
工事経歴書の作り方をそろえる
工事経歴書は、工事台帳から作れます。どの工事をどの業種に振り分けるかを、毎年同じ基準にします。
基準が年によって変わると、経営事項審査の点数にも影響します。
許可なしで請けられる範囲を社内で共有する
営業の担当が、許可のない業種の工事を受注してしまうことがあります。持っている業種と、軽微な工事の範囲を社内で共有しておきます。
見積りを出す前に確かめる手順にしておきます。
建設業許可を切らさない形にする
決算と更新を年間の予定に組み込むと、期限が見えるようになります。
- 1 決算の確定 財産的基礎を確認
- 2 4か月以内 決算変更届を出す
- 3 毎月 管理表で期限を見る
- 4 満了3か月前 更新の準備を始める
- 5 満了30日前 更新の申請を出す
決算変更届は毎年、更新は5年に1回です。周期が違うため、同じ表で管理しないと片方を忘れます。
年間の予定表に入れる
決算の月と、そこから4か月後を予定表に書き込みます。更新の年は、3か月前の月にも印を付けます。
年の初めに1回入れておけば、毎月見るだけで済みます。
人事の情報と結びつける
役員や技術者の異動の情報が、許可の担当に届く経路を作ります。届いていなければ、2週間の期限に気づけません。
人事の手続きの一覧に、許可への影響の確認を入れておきます。
電子申請の準備をしておく
電子で申請できる仕組みが広がっています。利用には事前の登録が要る場合があります。
更新の直前に始めるのではなく、余裕のある時期に登録しておくと滞りません。
様式は建設業許可 更新・変更届 管理表テンプレートからダウンロードできます。工事経歴書のもとになる記録は工事台帳にまとめています。
よくある質問
建設業許可はどのくらいの工事から必要になりますか。
軽微な建設工事だけを請け負う場合は、許可がなくても営業できる形になっています。金額の線は法令で定められており、改正で動くことがあります。手元の判断で決めず、許可行政庁の案内で確認しておくと安心です。
更新の申請はいつ出せばよいですか。
有効期間の満了日の30日前までに申請する形が定められています。書類をそろえる時間を考えると、3か月ほど前から準備を始めると余裕をもって出せます。決算変更届が出ていないと更新が受け付けられない点にも注意が要ります。
専任技術者が辞めたらどうなりますか。
要件を満たす人がいない状態が続くと、許可の要件を欠くことになります。代わりの人を配置し、変更届を出す形になります。届出の期限が短いため、退職の意向が出た時点で候補を検討しておくと間に合います。