足場設置届の対象と添付図面|30日前からの段取り
公開 2026年9月19日
目次8項目
足場設置届は、足場を組むときに労働基準監督署へ出す届出です。実務ではこの名前で呼ばれていますが、様式の名前は機械等設置届(様式第20号)です。
一般には、10m以上・60日以上という条件だけが知られています。とはいえ、実際に出す段になると、何を書いて何の図面を付けるのかで手が止まります。ここは条文の別表に書かれていて、機械等の種類ごとに違う形になっています。
ここでは、足場設置届の対象になる条件と、書く事項・付ける図面を、条文の並びに沿って整理します。
足場設置届は機械等設置届の一部で、30日前に出す
足場設置届の根拠は労働安全衛生法88条1項です。厚生労働省令で定める機械等を設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときに、その計画を工事開始の日の30日前までに労働基準監督署長へ届け出ることを求めています。
対象になる機械等は労働安全衛生規則の別表第7に並んでいて、足場はその12番目です。
| 届出 | 根拠 | 期限 | 出し先 |
|---|---|---|---|
| 機械等設置届(足場設置届) | 法88条1項 | 工事開始の30日前 | 所轄の労働基準監督署長 |
| 建設工事計画届 | 法88条3項 | 仕事開始の14日前 | 所轄の労働基準監督署長 |
| 大規模な仕事の計画届 | 法88条2項 | 仕事開始の30日前 | 厚生労働大臣 |
ポイントはここです。足場設置届と建設工事計画届は、別の条文の別の届出です。 期限も出し先も違うので、どちらの話をしているのかを先に決めてから調べると早く済みます。
- 1 対象か判定 高さと期間の両方
- 2 参画者を決める 足場は必要
- 3 図面を用意 組立図及び配置図
- 4 30日前に提出 様式第20号
足場設置届の対象は、2つの条件の両方で決まる
足場設置届の対象になるのは、次の2つを両方とも満たすときです。そのため、片方だけで判断すると間違えます。
条件1:高さ10m以上(つり足場・張出し足場は高さを問わない)
別表第7の12号は「足場(つり足場、張出し足場以外の足場にあつては、高さが十メートル以上の構造のものに限る。)」と書かれています。
読み方に注意が要ります。つり足場と張出し足場は、高さに関係なく対象です。10m以上という条件が付くのは、枠組足場やくさび緊結式足場など、それ以外の足場だけです。
高さの数え方でも迷いが出ます。地盤面から最上段の作業床までを見るのか、足場の全体の高さを見るのかという質問が現場から出ますが、条文は「高さが十メートル以上の構造のもの」としか書いていません。この場合、判断に迷うものは所轄の労働基準監督署に確認するほうが早く済みます。出さない理由を自分で組み立てると、あとから指摘を受けたときに戻せません。
もう一つ、同じ現場に複数の足場がある場合の扱いも質問が多いところです。棟ごとに別の足場を組むのか、ひとつながりの足場として計画するのかで、高さの見方も設置期間の数え方も変わります。そのため、割付けの段階で「どこからどこまでを1つの足場として届け出るか」を決めておくと、後戻りがありません。
- つり足場・張出し足場か はい対象(高さを問わない) いいえ次へ
- 高さ10m以上か はい次へ いいえ対象外
- 組立てから解体まで60日以上か はい対象 いいえ対象外
対象なら、工事開始の30日前までに様式第20号で提出する
条件2:組立てから解体までが60日以上
労働安全衛生規則85条1項2号が、架設通路と足場について「組立てから解体までの期間が六十日未満のもの」を除いています。この場合、高さが10m以上でも届出は要りません。
| 足場の状況 | 届出 |
|---|---|
| 枠組足場 12m・設置90日 | 要る |
| 枠組足場 12m・設置40日 | 要らない(60日未満) |
| 枠組足場 8m・設置90日 | 要らない(10m未満) |
| つり足場 5m・設置90日 | 要る(高さを問わない) |
とはいえ、この「60日」は足場が建っている期間です。工事全体の工期ではありません。組立てを始めた日から解体が終わる日までで数えます。
この数え方を工期と取り違えると、要らない届出を出すことになります。逆に、当初は60日未満の予定だった足場が、工事の延びで結果的に60日を超えることもあります。条文には途中で予定が変わった場合の扱いまでは書かれていないため、予定が変わった時点で所轄に相談するのが実務の形です。
同じように、当初8mで計画した足場を途中で10m以上に組み替える場合も、主要構造部分の変更に当たるかどうかで判断が分かれます。だからこそ、足場の計画は割付けが固まってから届出に進むほうが、結果として手数が少なくなります。
足場設置届に書く事項と、付ける図面
ここが調べても出てきにくい部分です。別表第7は、機械等の種類ごとに書く事項と付ける図面を別々に定めています。
| 種類 | 対象の条件 | 書く事項 | 付ける図面 |
|---|---|---|---|
| 型枠支保工(10号) | 支柱の高さ3.5m以上 | 構造物の概要/構造、材質及び主要寸法/設置期間 | 組立図及び配置図 |
| 架設通路(11号) | 高さ・長さがそれぞれ10m以上 | 設置箇所/構造、材質及び主要寸法/設置期間 | 平面図、側面図及び断面図 |
| 足場(12号) | つり・張出し以外は高さ10m以上 | 設置箇所/種類及び用途/構造、材質及び主要寸法 | 組立図及び配置図 |
架設通路だけ図面の種類が違います。 足場と一緒に出すつもりで組立図だけ用意すると、足りないことになります。
表をよく見ると、もう一つ違いがあります。足場の行には「設置期間」が入っていません。型枠支保工と架設通路には入っています。届出そのものには工期を書く欄がありますが、別表第7が求める記載事項としては足場だけ抜けている、という書きぶりです。とはいえ60日の判定に期間が要るので、実務では設置から解体までの予定を添えて出すことになります。
図面の細かさについては、条文に基準が書かれていません。そのため、どこまで描くかは所轄の運用に合わせることになります。この場合、提出の直前に持ち込むより、割付けが固まった段階で一度相談しておくほうが、出し直しを避けられます。相談のときに聞いておくとよいのは、図面の縮尺、記載を求められる寸法、部材の型式の書き方の3つです。
図面を外部に依頼する場合は、依頼先に渡す情報も先に決めておきます。躯体の形が分かる図面、揚重計画、乗り込み口の位置、近接する道路や構造物の状況。これらがそろっていないと、依頼してから何度もやり取りが発生して、結局30日前に間に合わなくなります。
足場・型枠支保工
- 組立図及び配置図
- 有資格者の参画が要る
架設通路
- 平面図、側面図及び断面図
- 参画者は要らない
足場設置届には有資格者の参画が要る
見落としやすいのがここです。労働安全衛生法88条4項は、一定の工事の計画を作るときに有資格者を参画させることを求めています。その範囲は労働安全衛生規則92条の2に定められていて、対象は別表第7の10号(型枠支保工)と12号(足場)です。
一方、架設通路(11号)は対象に入っていません。
| 別表第7 | 機械等 | 参画者 |
|---|---|---|
| 10号 | 型枠支保工(支柱3.5m以上) | 要る |
| 11号 | 架設通路(高さ・長さ10m以上) | 要らない |
| 12号 | 足場(10m以上ほか) | 要る |
そのため、社内に該当する人がいない場合は外部に依頼することになります。30日前という期限から逆算すると、誰に頼むかを先に決めておく必要があります。
参画者に求められる資格の中身は別に定めがあります。一方、その人が何をどこまで見るのかは、条文に細かく書かれているわけではありません。実務では、計画の段階で図面と設置条件を確認し、必要な補強や手すりの考え方について意見をもらう形が一般的です。
依頼するときは、いつまでに何を見てもらうかを先に伝えます。参画は提出の直前に形だけ通すものではないので、割付けが固まった段階で入ってもらうと、そのあとの手戻りが減ります。とはいえ、外部に依頼する場合は相手の日程もあるため、40日前には声をかけておくのが現実的です。
- 1 45日前 対象かの判定 高さ10m以上か、60日以上か
- 2 40日前 参画者を決める 社内にいなければ外部へ依頼
- 3 35日前 図面を用意 組立図及び配置図。いちばん時間がかかる
- 4 30日前 提出 様式第20号。記載事項は別表第7の3つ
足場設置届を30日前から逆算して並べる
期限が工事開始の30日前なので、そこから逆に並べると手が止まりません。
| いつ | やること |
|---|---|
| 45日前 | 高さと設置期間を確定し、対象かどうかを判定する |
| 40日前 | 参画者を決める(社内にいなければ依頼先を探す) |
| 35日前 | 組立図と配置図を用意する |
| 32日前 | 様式第20号に記載事項を書く |
| 30日前 | 所轄の労働基準監督署へ提出 |
- 30日前機械等設置届の期限
- 14日前建設工事計画届の期限
- 60日足場が除かれる期間
いちばん時間がかかるのは図面です。組立図は足場の割付けが決まらないと描けず、割付けは躯体の形と揚重計画で決まります。この場合、先に出しておけば安心とはなりません。主要構造部分が変わると変更の届出が要り、そちらにも30日前の期限がかかります。
提出前の確認は機械等設置届 提出前チェックリストにまとめています。現場の安全記録の残し方は現場の安全記録は何を残すのかで扱っています。
建設工事計画届との見分け方
足場設置届を調べていると、建設工事計画届が並んで出てきます。こちらは仕事そのものの届出で、対象が規模で決まります。労働安全衛生規則90条が挙げているもののうち、よく当たるのは高さ31mを超える建築物または工作物の建設等、最大支間50m以上の橋梁の建設等、ずい道等の建設等、掘削の高さまたは深さが10m以上の地山の掘削の作業を行う仕事です。
期限は仕事開始の14日前で、機械等設置届の30日前とは違います。この場合、31mを超える建物に10m以上の足場を60日以上かけて組むなら、両方の届出が要ります。先に来るのは30日前の機械等設置届のほうです。
さらに大規模なものは、厚生労働大臣に出す計画届になります。高さ300m以上の塔、堤高150m以上のダム、最大支間500m以上の橋梁などで、こちらは30日前です。日常の工事で当たることはほとんどありませんが、期限が30日前である点は機械等設置届と同じなので、混ざらないように書類の名前で区別すると迷いません。
一方、届出を出したあとに現場が動いたときの扱いも決めておきます。主要構造部分が変わる場合は変更の届出が要り、そちらにも30日前の期限がかかります。とはいえ、割付けの微修正がすべて主要構造部分の変更に当たるわけではありません。判断に迷うものは所轄に確認しておくと、そのやり取りが記録になり、あとから経緯を説明できます。
足場設置届が要らない足場でも、残る義務がある
60日未満、あるいは10m未満で届出が要らない足場でも、点検や作業主任者の選任といった義務は別にかかります。届出の要否と、現場で守ることは別の話です。
届出は高さと設置期間で決まりますが、点検は足場の種類と状況で決まり、作業主任者の選任はまた別の条文がかかります。そのため、判定で「対象外」と出たときほど、点検と選任のほうを確かめておきます。
一方、届出が要らないからといって組立図を描かない、という運用にはしないほうが扱いやすくなります。図面がないと、組んだあとの点検で何を基準に見るかが決まりません。
届出と、現場で回す書類のつながり
足場設置届は、出して終わりの書類ではありません。届け出た内容は、その後の現場で回す書類とつながっています。
届出に添えた組立図は、実際に組むときの手順書の元になります。そのため、届出用に描いた図面と、現場で使う組立の指示が食い違っていると、組んだ足場が届出と違うものになります。この場合、指摘を受けるのは現場のほうです。だからこそ、図面を描いた人と組む人が別のときは、組む前に一度突き合わせておきます。
組んだあとは点検が始まります。足場の点検には、作業開始前に見るもの、悪天候や地震のあとに見るものがあり、届出とは別の条文がかかります。とはいえ、届出のときに整理した構造・材質・主要寸法は、点検の判定基準をつくるときにそのまま使えます。届出のために調べたことを点検表へ写しておくと、二度調べる手間がなくなります。
解体のときも同じです。設置期間を60日で判定している以上、いつ解体したかは記録に残ることになります。一方、解体の日が当初の予定から動いた場合、その事実を残しておかないと、あとから期間を説明できません。足場の点検記録に解体の日を書いておくと、それが期間の記録も兼ねます。
届出の控えの置き場所も決めておきます。提出した控えは、その工事の安全書類と一緒に綴じておくと、元請から確認を求められたときにすぐ出せます。とはいえ、控えだけでは「いつ何を出したか」しか分かりません。所轄とのやり取りで判断が分かれた点があれば、そのメモも一緒に綴じておくと、次の工事で同じことを調べずに済みます。
複数の現場を持っている会社では、届出の要否を判定した記録を会社で1か所にまとめておくと効きます。現場ごとに判断がばらつくと、同じ条件の足場で出したり出さなかったりという状態になります。この場合、判定の基準そのものが社内で共有されていないことが原因なので、判定した結果だけでなく、何を見てそう判断したかまで残しておきます。
機械等設置届
- 法88条1項
- 足場・型枠支保工・架設通路
- 工事開始の30日前
- 有資格者の参画(10号・12号)
建設工事計画届
- 法88条3項
- 31m超の建築物・ずい道等
- 仕事開始の14日前
- 対象は規模で決まる
よくある質問
足場設置届という様式はありますか。
様式の名前は機械等設置届(様式第20号)です。足場設置届は通称として使われています。根拠は労働安全衛生法88条1項と労働安全衛生規則86条で、対象の機械等は別表第7に並んでいます。
10m未満の足場でも届出が要ることはありますか。
つり足場と張出し足場は、高さを問わず対象になります。それ以外の足場は10m以上のものが対象です。ただし、組立てから解体までの期間が60日未満のものは除かれます。
60日はどこから数えますか。
組立てを始めた日から解体が終わる日までです。工事全体の工期ではありません。工期で数えると、要らない届出を出すことになります。
足場設置届と建設工事計画届は何が違いますか。
別の条文の別の届出です。機械等設置届は工事開始の30日前まで、建設工事計画届は仕事開始の14日前までで、対象になるものも違います。条件に当たれば両方出すことになります。
提出したあとに足場の計画が変わったらどうしますか。
主要構造部分の変更に当たる場合は、改めて届出が必要になります。変更の届出にも30日前の期限がかかるため、割付けが固まってから出すほうが手数が少なくなります。