建設業の在職証明書|常勤性の証明に使う

公開 2026年9月22日

目次18項目

建設業の在職証明書は、その人が在籍していることを会社が証明する書面です。法令に定めのある書類ではなく、会社が任意で発行します。

一般には、賃貸や融資の審査、配偶者の勤務先での扶養の確認に使われる書類です。とはいえ建設業では、それとは別に許可の要件にかかわる場面があります。専任技術者や常勤役員等には常勤であることが求められ、その確かめ方の1つとして在籍の資料を求められるためです。

ここでは、建設業の在職証明書を用途ごとに分けて、何を書くかを整理します。

建設業の在職証明書は2つの用途で求められる

建設業の在職証明書は、誰が読むかで求められる中身が変わります。

本人の手続き

  • 賃貸や住宅ローンの審査
  • 配偶者の勤務先での扶養の確認
  • 転職先への提出
  • 在籍の事実と、収入の目安が見られる

許可の要件

  • 建設業許可の申請・更新・変更届
  • 専任技術者や常勤役員等の常勤性
  • 行政庁が複数の資料と合わせて確かめる
  • 様式の指定があることが多い
同じ在職証明書でも、読む人が違えば見る欄が違う

ポイントはここです。受付で用途を聞きます。用途が決まれば、書く項目も、様式を自社のものにするかどうかも決まります。

そのため、依頼を受けたときに「どこに出しますか」と確かめます。この一言で、あとの手戻りがほとんど無くなります。

建設業の在職証明書だけでは常勤性を示せない

建設業の在職証明書は、許可の要件としての常勤性を1枚で示すものではありません。

行政庁は、健康保険の被保険者証、住民税の特別徴収、標準報酬の決定通知、賃金台帳といった資料を組み合わせて確かめる形をとっています。どの資料を求めるかは都道府県によって違います。

そのため、在職証明書は、そのうちの1つとして添えるものになります。これ1枚で足りると考えて出すと、追加の資料を求められて日数がかかります。

一方で、出す前に申請先の手引きを見ます。様式の指定があれば、そちらが優先します。手引きは更新されるので、前回の控えではなく最新のものを見ます。

建設業の在職証明書に現場の働き方をどう書くか

建設業の在職証明書でいちばん手が止まるのが、勤務時間の欄です。現場が変わり、応援や出張も入るためです。

1週間の勤務日数と所定の勤務時間

多くの様式は、この2つを聞いてきます。

そのため、まずこの2つを書きます。現場によって始業と終業が前後する場合は、その旨を備考に1行入れます。

直行直帰があるとき

現場へ直接行く働き方もあります。

この場合、出面表や入退場の記録が勤務の実態を示す材料になります。そのうえで、書いた時間がその記録と合っているかを確かめます。

応援や出向で他社の現場に入るとき

在籍しているのは自社なので、自社が書きます。

とはいえ、常勤性を見る場面では、どこで働いていたかも見られることがあります。備考で補える形にしておきます。

月ごとに勤務が変わるとき

一定でない場合は、直近3か月の平均を書いて、備考にその旨を添えます。

逆に、平均であることを書かずに1つの数字だけ載せると、提出先が実態と違うものとして読みます。

建設業の在職証明書を許可の手続きで使うとき

建設業の在職証明書を許可の場面で出すなら、期限から逆算します。

  1. 1 手引きを見る 必要な資料と様式
  2. 2 用途を受付 誰の、何の要件か
  3. 3 資料をそろえる 保険証・住民税・台帳
  4. 4 在職証明書を作る 指定様式があればそちら
  5. 5 控えを残す 次の更新まで保管
在職証明書は最後のほうに作る。先に必要な資料を確かめる

更新は5年ごとです。だからこそ、今回そろえた資料の一覧を控えに残しておくと、次の更新のときに同じ順番でたどれます。

また、専任技術者や常勤役員等が変わるときは、変更の届出が要ります。この場合も同じ資料が求められることがあります。

一人親方に頼まれたときの分かれ目

建設業の在職証明書は、契約の形によって書けるかどうかが変わります。

雇用しているなら書けます。在籍している事実があるためです。

請負であれば、在職の証明にはなりません。この場合は、取引の実績を示す別の書面になります。取引先としての付き合いの長さや、請け負った工事の内容を示すものです。

そのうえで、常用と請負が混ざっている働き方もあります。まず契約の形を確かめてから、どちらの書面にするかを決めます。

建設業の在職証明書に書きすぎない

建設業の在職証明書は、本人が第三者に渡す書面です。書いたことは提出先に伝わります。

用途に必要のない情報は書きません。保有している資格、家族の情報、健康に関すること。求められていなければ入れません。

判断の目安は、提出先の様式に欄があるかどうかです。欄が無いのに自社の様式で書き足している項目があれば、いったん外して考えます。

なお、社外から直接「この人は在籍していますか」と問い合わせが来ることもあります。本人の依頼なしに答える範囲を、会社で決めておきます。

控えの残し方で次が短くなる

出したあとの控えが、次の依頼をいちばん短くします。

誰に、いつ、何を、どこへ出したか。この4つが分かれば足ります。そのうえで、提出先の様式を使った場合は、その写しも一緒に綴じます。

置き場所は1つにします。人事の書類と混ざると探せません。だからこそ、証明書だけの綴りを作ります。

給与の額が入るので、誰でも開ける場所には置きません。見られる人を決めておくと、依頼が来たときに誰が動くかも同時に決まります。

建設業の在職証明書でよくあるつまずき

建設業の在職証明書で実務上つまずきやすい形を、4つ挙げます。

用途を聞かずに書き始める

書く項目が決まりません。そのため、依頼の受付で用途と提出先を聞きます。

提出先の様式があるのに自社の様式で書く

二度手間になります。本人が様式を持っているかを、最初に確かめます。

勤務時間を1日の数字だけで書く

現場によって始業と終業が変わります。この場合、備考に1行添えるだけで読み取れる形になります。

期限に間に合わない

許可の申請にも審査にも期限があります。そのうえで、依頼を受けたときに期限を聞いて、目安を伝えます。

建設業の在職証明書に書く収入の欄

建設業の在職証明書は、収入を求められることがあります。

総支給か手取りか

様式の指示に従います。指示が無ければ総支給で書き、どちらかを備考に書きます。

現場手当や資格手当を含めるか

含める場合と含めない場合で額が変わります。そのうえで、何を含めた額かを1行添えます。

見込みを聞かれたとき

これからの年収の見込みを聞かれる形があります。この場合、直近の実績から算出した見込みであることを明記します。

賞与の扱い

年の収入に入れるかどうかで額が変わります。とはいえ、様式に「賞与を含む」と書いてあれば、そのとおりにします。

建設業の在職証明書を出す前に確かめる3つ

交付の前に短い確認を入れると、差し戻しが減ります。

提出先の様式を使っているか

行政庁や金融機関の指定があれば、そちらが優先します。そのため、自社の様式は控えとして残します。

記録と数字が合っているか

勤務の日数と時間は出勤簿や出面表と、給与は賃金台帳と突き合わせます。一方で、記憶で書いた数字が混ざっていないかもここで分かります。

会社の情報が入っているか

所在地、名称、代表者。この3つが抜けていると、提出先で受け付けられないことがあります。

建設業の在職証明書を毎年の作業にする

同じ人から毎年依頼が来ることがあります。

前年の控えを開く

変わった欄だけを直せば済みます。所属、勤務時間、収入。この3つだけを見れば、たいていは終わります。

提出先ごとの様式をためる

同じ行政庁や金融機関の様式が繰り返し来ることがあります。そのうえで、欄の埋め方をそのまま真似できます。

締切をまとめる

依頼を受けるたびに作るより、週に1度まとめて作るほうが早く終わります。とはいえ、提出の期限が近いものは先に出します。

常勤性で何が見られているか

建設業の在職証明書を許可の場面で出すとき、行政庁が見ているのは在籍の事実だけではありません。

その会社で働いている実態があるか

社会保険の加入、賃金の支払い、出勤の記録。そのため、在職証明書に書いた内容が、これらと食い違わないようにします。

通える場所に住んでいるか

住所と営業所の距離を見る運用をとっている都道府県があります。この場合、遠方であれば、通勤の方法を説明する資料を求められることがあります。

他社と兼ねていないか

他の会社の常勤役員や、他社の専任技術者を兼ねていると、常勤とは見られません。一方で、判断の細かいところは都道府県によって違います。

いつから常勤か

要件を満たした時期が問われます。そのうえで、在職証明書の在籍期間と、社会保険の資格取得日がずれていないかを確かめます。

建設業の在職証明書が要る手続きの時期

建設業の在職証明書は、決まった時期にまとめて要ります。

  • 5年ごと許可の更新
  • 毎年決算変更届
  • 起きたとき専任技術者・常勤役員等の変更
在職証明書が要る場面は、周期の決まったものと決まらないものに分かれる

更新は5年に一度なので、前回の控えが手元にあるかどうかで手間が変わります。だからこそ、出した資料の一覧を残しておきます。

変更の届出は、起きたときに出します。この場合、期限が短いものがあるため、人が動くと決まった時点で準備を始めます。

決算変更届のときに見直す

毎年の届出のときに、専任技術者と常勤役員等が変わっていないかを見ます。とはいえ、変更の届出はそのときにまとめて出すものではありません。

電子申請で出すとき

電子で受け付ける都道府県が増えています。そのため、添付する形(PDFか画像か)も手引きで確かめます。

建設業の在職証明書を書く人を決めておく

誰が書くかを決めていないと、依頼のたびに止まります。

総務が書く形

労働者名簿や賃金台帳を持っているのは総務です。そのため、数字を写す作業は総務で完結します。

現場の情報が要るとき

担当した工事や、現場での立場は工事部が知っています。この場合、書く前に1回聞く手順を入れておきます。

名義は代表者

会社が証明するものなので、代表者の名義で出す形が一般的です。そのうえで、実際に中身を確かめた人を控えに残しておきます。

元請から在籍を確かめられる場面

建設業の在職証明書は、元請から求められることもあります。

作業員名簿との関係

現場に入る人が、その会社の社員かどうかが見られます。そのため、雇用しているのか請け負っているのかが、名簿の書き方で分かれます。

社会保険の加入状況

作業員名簿には加入の状況を書く欄があります。この場合、在職証明書に書いた内容と食い違っていると、元請から確認が入ります。

求められたのが証明書でないこともある

元請が見たいのは、雇用の実態であることが多くなっています。一方で、様式を指定されたなら、そちらで出します。

同じ数字を2か所に書かない

名簿と証明書で数字が違うと、どちらが正しいか分かりません。そのうえで、どちらも同じ記録から写す形にします。

建設業の在職証明書を扶養の確認で出すとき

配偶者の勤務先から求められる形です。

見られるのは収入

扶養に入れるかどうかの判断に使われます。そのため、収入の欄が中心になります。

見込みを聞かれることが多い

これからの1年の収入が問われます。この場合、直近の実績から算出した見込みであることを明記します。

様式は相手方のもの

配偶者の勤務先が用意した様式があります。とはいえ、無ければ自社の様式で足ります。

期限が短いことがある

健康保険の手続きに合わせて求められます。だからこそ、依頼を受けた日に期限を聞いて、目安を返します。

建設業の在職証明書の様式を1つに決める

依頼のたびに様式を作り直すと、書く内容も変わります。

自社の様式を1つ持つ

提出先の指定が無いときに使います。そのため、用途の受付欄と備考欄を先に入れておきます。

指定された様式は写しをためる

同じ行政庁や金融機関のものが繰り返し来ます。この場合、前回の写しが、そのまま次の下書きになります。

押印の扱いを決める

求められたときだけ押す形にします。とはいえ、許可の手続きでは指定があることが多いので、手引きで確かめます。

交付の記録は社内用

誰に、いつ、どこへ出したか。そのうえで、この欄は本人へ渡す紙には印刷しません。

まとめ

建設業の在職証明書は、用途を分けるところから始めます。本人の手続きと、許可の要件では、読む人も見る欄も違います。

許可の常勤性は、在職証明書1枚では示せないことが多くなっています。健康保険や住民税の資料と組み合わせる形で、求められるものは都道府県によって違います。申請先の手引きを先に見ます。

勤務時間は、1週間の日数と所定の時間を書き、現場で前後する分を備考で補います。決めた書き方を控えに残せば、次の依頼はその写しから始められます。

よくある質問

建設業許可の常勤性は在職証明書だけで示せますか。

足りないことが多くなっています。健康保険の被保険者証や住民税の特別徴収など、複数の資料で確かめる形が一般的です。求められる資料は都道府県によって違うため、申請先の手引きで確かめます。

現場によって始業と終業が変わります。どう書きますか。

1週間の勤務日数と所定の勤務時間を書き、現場によって始業と終業が前後する旨を備考に書く形が使われています。決めた書き方を控えに残すと、翌年も同じ形で書けます。

一人親方から在職証明書を頼まれました。

雇用していれば書けます。請負であれば在職の証明にはなりません。その場合は、取引の実績を示す別の書面になります。契約の形を先に確かめます。

提出先から様式を渡されました。自社の様式は使えませんか。

提出先の様式が優先します。自社の様式は控えとして残す形にすると、次に同じ依頼が来たときの下書きになります。

社外から「この人は在籍していますか」と電話が来ました。

本人の依頼なしに答える範囲を、会社で決めておきます。答えてよい範囲を決めていないと、担当者ごとに対応が変わります。

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