工事の電子納品|写真の整理でつまずく

公開 2026年9月8日

目次8項目

工事の電子納品は、成果品を紙ではなく電子のデータで提出する仕組みです。一般には、公共工事で広く行われており、国土交通省や自治体が要領とガイドラインを公開しています。

一方で、実務でいちばん時間がかかるのは、データを作ることではありません。決められた形に整理することです。特に工事写真は、枚数が多く分類の決まりも細かいため、最後に作業が集中しがちです。

ポイントはここです。工事の電子納品で時間を取られるのは提出の作業ではなく、撮り始める前に分類を決めていないことです。

ここでは、工事の電子納品について、写真の整理、フォルダの決まり、発注者ごとの違い、そしてチェックシステムの使い方を順に整理します。

工事の電子納品で写真の整理に時間がかかる理由

工事の電子納品では、写真の整理がいちばん手間のかかる作業として挙げられます。理由は、ただ画像を出せば済むものではないためです。

写真は決められたフォルダに入れ、そこからさらに分類します。工種、種別、細別といった段階で分かれており、どの階層に何を入れるかは要領で決まっています。

加えて、写真ごとに属性の情報を付けます。撮影日、工種、撮影箇所、代表かどうか。これらが写真1枚ずつに紐づく形になります。

撮ったあとにこの分類をやると、1枚ずつ開いて判断することになります。数百枚から千枚を超える現場では、この作業だけで何日もかかります。

そのため、撮る段階で分類が決まっていると作業がまったく変わります。撮影のときに黒板へ工種を入れておけば、後から振り分ける判断が要りません。

一方で、分類の決まりは着手の段階でないと調べにくいものです。工事が動き出してからだと、確認する時間そのものが取れなくなります。

撮ってから分類する

  1. 現場で写真を撮る
  2. 端末にためる
  3. 提出の前に1枚ずつ振り分ける
  4. エラーが出て直す

最後に何日も集中する

分類を決めてから撮る

  1. 要領の分類を先に作る
  2. 黒板に工種を入れて撮る
  3. 撮ったその週に入れる
  4. 途中で一度チェックを通す

提出の直前が軽い

工事の電子納品は、撮り始める前の準備で作業量が決まる

工事の電子納品のフォルダの決まり

工事の電子納品では、成果品を決められた構成のフォルダに入れます。自由な置き方はできません。

写真は写真用のフォルダに入り、図面は図面用、書類は書類用というように分かれます。このフォルダの名前と階層は要領で定められており、自分で作った名前では受け付けられません。

そのうえで、フォルダの中の分類も決まっています。写真であれば工種や種別で分かれ、図面であれば図面の種類で分かれます。

要領のとおりに作るのは、専用のソフトを使うのが一般的です。手作業でフォルダを作ると、名前の付け方や階層の深さで間違いが起きやすくなります。

電子納品に対応したソフトは複数あり、対応している要領の種類も製品ごとに違います。自社が扱う発注機関の要領に対応しているかを確認してから選ぶ形になります。

一方で、ソフトを入れても分類の判断は残ります。この写真がどの工種に当たるのかは、現場を知っている人でないと決められません。ソフトは形を整える道具であって、判断はしてくれません。

工事の電子納品で発注者ごとに違うところ

工事の電子納品では、発注者によって要領が違います。同じ工種でも、提出の形が変わります。

国の直轄工事では、国土交通省の要領とガイドラインに従います。都道府県や市の工事では、それぞれが独自の運用マニュアルを出していることがあります。「前の工事と同じ」と思って進めると食い違います。

違いが出やすいのは、写真の分類、フォルダの構成、そして提出する媒体です。細かいところでは、ファイル名の付け方や、格納する書類の範囲も変わります。

そのため、着手の段階で確認しておくのは次の3つです。どの要領のどの版に従うのか、チェックシステムはどれを使うのか、提出の媒体は何か。

この3つが分かっていれば、途中で迷う場面がかなり減ります。逆に、これを確認しないまま進むと、最後にそろえ直す作業が発生します。

一方で、要領は改定されます。前の年と同じ発注者でも、版が上がっていることがあります。着手のたびに確認する習慣を付けておくと安全です。

  • 着手 どの要領のどの版か確認 フォルダと分類を作る監督員に聞くのがいちばん早い
  • 現場 黒板に工種を入れて撮る 分類済みの写真後から振り分けなくて済む
  • 撮った写真 その週のうちに入れる 成果品のフォルダためると最後に集中する
  • 成果品 チェックシステムで確認 提出検査でエラーが出ると再提出
工事の電子納品は、1つめを着手の段階でやるかどうかで全体の手間が決まる

工事の電子納品とチェックシステム

工事の電子納品では、提出の前に内容を確認する仕組みが用意されています。発注機関が公開しているチェックシステムです。

このシステムに成果品を通すと、要領に合っていない箇所がエラーとして出ます。フォルダの構成、ファイル名、必要な情報の欠落。いずれも検査の段階で指摘される内容です。

検査で指摘されると再提出になり、その間は検査が進みません。工期の終盤にこれが起きると、他の作業にも影響が出ます。

そのため、提出の直前だけでなく、途中でも一度通しておく形が扱いやすくなります。半分ほど撮り終えた段階で通しておくと、分類の誤りが前半だけで済みます。

そのうえで、チェックシステムは発注機関ごとに用意されています。国の工事と自治体の工事では別のものを使うことがあるため、どれを使うのかを着手時に確認しておきます。

一方で、チェックシステムを通ったからといって、中身が正しいとは限りません。形式が合っていることと、必要な写真がそろっていることは別です。撮影の漏れは、この仕組みでは分かりません。

漏れを防ぐのは、撮影箇所の一覧のほうです。撮るべき箇所を先に書き出して、撮ったら印を付ける。機械は撮られていない写真を作れないので、ここだけは人の側で止めるしかありません。

そのうえで、一覧は工種ごとに作っておくと使い回せます。同じ発注者の似た工事なら、前の工事の一覧をほぼそのまま使えます。

工事の電子納品と3次元データの扱い

工事の電子納品には、近年3次元のデータが加わってきています。ICT施工を行った工事では、設計のデータや計測のデータも成果品になります。

扱う量が大きく変わる点が、従来との違いです。点群のデータは容量が大きく、提出の媒体や受け渡しの方法まで考える必要が出てきます。

分類の決まりも別に定められています。3次元の設計データ、3次元の測量データをどのフォルダに入れるかは、自治体が運用マニュアルで示していることがあります。

写真の整理に時間がかかっているところへ3次元が加わると、作業が二重になります。そのため、写真の側を先に軽くしておくと、全体が回りやすくなります。

そのうえで、3次元のデータは作った本人でないと中身が分かりません。測量を外注している場合は、成果品の形式まで含めて依頼しておくと、後で作り直しになりません。

一方で、対象になる工事は限られます。ICT施工を行っていない工事では、従来どおりの成果品で足ります。自社の工事が対象かどうかは、特記仕様書で確かめられます。

工事の電子納品を軽くする撮り方

工事の電子納品を軽くするには、撮影の段階で決めておくことが効いてきます。後の整理は、撮り方の写しでしかありません。

決めておくと良いのは3つです。黒板に入れる項目、撮影箇所の一覧、そして入れるタイミング。

黒板の項目は、要領が求める属性とそろえておきます。工種、種別、撮影箇所。これらが黒板に入っていれば、分類の判断が撮影の時点で終わります。

撮影箇所の一覧は、撮り漏れを防ぎます。撮られていない写真は、どんな道具でも作れません。一覧に印を付けながら撮る形にすると、後で気づく事態が減ります。

入れるタイミングは、週に1回を目安にすると溜まりません。月末にまとめてやると、量が多くなって後回しになります。

そのうえで、電子小黒板を使っていると分類が自動で付きます。撮影と同時に情報がデータとして残るため、振り分けの作業そのものが発生しません。公共工事で使う場合は、改ざん検知の機能を備えたものが求められます。

撮影箇所の一覧
工種撮影箇所予定撮影日
工事写真台帳
工種撮影箇所撮影日代表写真
合わせるのは工種と撮影箇所。一覧と台帳が同じ言葉なら振り分けが要らない

工事の電子納品でAIが担える範囲

工事の電子納品でAIが担えるのは、写真の仕分けと、文書から必要な箇所を探すことです。判断は人が行います。

仕分けの側では、黒板の文字を読み取って工種ごとに分ける機能が実用の段階にあります。電子小黒板を使っていない過去の写真や、協力会社から届いた写真に効きます。

ただし、読み取りには誤りが出ます。手書きで汚れた黒板は特に読み違いが多く、一覧で確認して直す工程が残ります。確認を省くと、分類が崩れたまま提出することになります。

文書の側では、要領やガイドラインから該当箇所を探す使い方があります。要領は分量が多く、自社の工種に関わる部分はその一部です。渡して当たりをつけさせると、探す作業が読む作業に変わります。

一方で、要領の解釈そのものを任せるのは向きません。判断を誤ると再提出になるため、当たりをつけたあとは原文を読んで確かめる形にします。

そのため、道具に期待するのは「分類の下準備」と「探す時間の短縮」までにしておくと、期待とずれません。

工事の電子納品を小さく整える順序

工事の電子納品は、次の工事から整えられます。仕組みを入れ替える前に、決めごとから始まります。

続きやすいのは次の形です。

  1. 着手の段階で、要領の版とチェックシステムと提出媒体を確認する
  2. その要領に沿ったフォルダと写真の分類を先に作る
  3. 撮影箇所の一覧を作り、黒板の項目をそろえる
  4. 週に1回、撮った写真を入れる
  5. 半分ほど終わった段階で、一度チェックシステムを通す

5つめが大きく効きます。前半で誤りに気づければ、直す量が半分で済みます。

そのうえで、専用のソフトを入れるかどうかは、この5つを回してから考えるほうが判断がつきます。何に時間がかかっているかが分かってから選べば、使わない機能に払う形になりにくくなります。

一方で、公共工事を継続して受けているなら、早い段階で入れる価値があります。要領に沿ったフォルダを手作業で作るのは、間違いが起きやすい作業だからです。

最後に、この手順は工事ごとにやり直しません。1件目で作った分類は、同じ発注者の次の工事でもほぼ使えます。1件目だけ重く、2件目から軽くなる形になります。

よくある質問

電子納品の分類は、どの工事でも同じですか。

同じではありません。国の要領に沿う場合と、都道府県や市が独自に定めている場合があり、同じ工種でも提出の形が変わります。着手の段階で、どの要領のどの版に従うのかを確認しておくと、最後にそろえ直す作業が減ります。

写真の整理はいつから始めるのが良いですか。

着手の段階です。撮り始めてから分類を決めると、前半の写真をあとで振り分け直すことになります。**フォルダの構成と写真の分類を先に作って、撮ったその週に入れていく**形にすると、最後に集中しません。

チェックシステムは必ず使うものですか。

使わずに提出することもできますが、検査の段階でエラーが出ると再提出になります。発注機関が公開しているチェックシステムで事前に確認しておく形が広く使われています。提出の直前ではなく、途中でも一度通しておくと安心です。

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