重機作業計画の作り方|定める事項と周知の記録

公開 2026年8月23日

目次8項目

作業手順書があるから重機の計画も要らない、という扱いにしている現場があります。この2つは見ているものが違います。

一般には、機械の種類と能力、運行の経路、作業の方法という3つを、作業を始める前に定めて関係する労働者に周知します。手順書が人の動きを扱うのに対し、重機作業計画は機械と地形を扱います。

ポイントはここです。重機作業計画は、機械そのものと現場の地形を扱う計画で、作業手順書とは見ているものが違います

ここでは、定める3つの事項、経路と方法の決め方、立入禁止の措置、そして周知の記録を順に整理します。

重機作業計画が求められる理由

重機作業計画でおさえるのは、定める事項・時期・周知の3つです。

  • 3つ定める事項
  • 事前作業を始める前に定める
  • 周知関係する労働者に知らせる
重機作業計画でおさえる3つ

3つのうち、書類として残りにくいのが周知です

計画を作った記録は残っても、誰にいつ伝えたかは残りません。

作業手順書との違い

作業手順書は、人がどの順序で何をするかを書きます。重機作業計画は、機械の能力と現場の地形が合うかを見ます。

同じ掘削の作業でも、扱う対象が違います。そのため両方を持つ形になります。

対象になる機械

バックホウやブルドーザーといった車両系建設機械が対象です。移動式クレーンや高所作業車は、それぞれ別の定めがあります。

自社が持ち込む機械だけでなく、リースで入れる機械も同じ扱いになります。

元請への提出

現場によっては、計画の提出を求められます。他社の作業との調整に使われるためです。

持込機械等使用届とあわせて出す形が広く見られます。

重機作業計画に定める3つの事項

重機作業計画で定めるのは、機械の能力・運行の経路・作業の方法です。

定める事項書く中身
機械の種類・能力名称、型式、機体重量、バケット容量、作業半径
運行の経路搬入から作業位置まで、旋回の範囲
作業の方法掘削の順序、積込みの位置、合図の方法

この3つは順に決めていくと、抜けが出にくくなります。

  1. 1 現場を見る 地形・地盤・障害物
  2. 2 機械を選ぶ 能力と現場が合うか
  3. 3 経路を決める 搬入から作業位置まで
  4. 4 方法を決める 順序と合図
  5. 5 周知する 運転者と周囲へ
重機作業計画は、この順に決めていくと抜けが出ない

いちばん最初の現場を見るを省くと、計画が机上のものになります

事前の調査が前提になる

地形、地盤の状態、地下の埋設物、架空線の位置を確かめます。図面だけでは分からない条件があります。

調査の結果が、機械の選び方と経路の決め方を変えます。

機械の能力を書き写す

機体重量、バケット容量、作業半径をカタログから写します。持込機械等使用届にも同じ数字を書きます。

2つの書類で数字が違うと、どちらが正しいのか分かりません。

現場に合わない機械を入れない

大きい機械のほうが作業は速く進みます。とはいえ旋回の範囲が取れなければ、そもそも使えません。

機械を現場に合わせて選ぶと、計画も無理のないものになります。

架空線と埋設物の位置を確かめる

上空に電線があれば、アームを上げたときに接触します。地中に配管やケーブルがあれば、掘削で損傷させます。

どちらも事前の調査で位置を確かめ、計画に書き込みます。接触のおそれがある場所には、防護管や表示を設けます。

運行の経路を決める

重機作業計画の経路は、作業中だけでなく行き帰りと駐機まで含めます。

見落とされやすい部分

  • 道路から現場への進入
  • 仮設道路の勾配
  • 他社の作業範囲との重なり
  • 資材の仮置き場の脇
  • 作業終了後の駐機位置

計画に入れておく部分

  • 進入口の位置と誘導員の配置
  • 勾配と路盤の状態
  • 時間帯をずらす調整
  • 通行できる幅の確保
  • 夜間の駐機と施錠
経路は「作業中」だけでなく、行き帰りと駐機まで含める

災害は、作業中より移動中や段取り中に起きることがあります

図面に経路を描く

言葉で書くより、図面に線を引くほうが伝わります。進入口、走行の経路、作業の位置、駐機の場所を描き込みます。

その図面を掲示すれば、他社にも伝わります。

勾配と地盤を確認する

登坂できる勾配には限りがあります。軟弱な地盤では、走行中に沈み込むことがあります。

必要なら敷鉄板を敷き、その範囲も計画に書きます。

歩行者と分ける

機械の経路と、人が歩く経路を分けます。分けられない場所では、時間帯をずらすか誘導者を置きます。

経路を分けておくと、接触の機会そのものが減ります

搬入と搬出の日を工程表に入れる

機械を運び込む日と、引き上げる日を工程表に書きます。回送車が入る時間帯には、他の車両の出入りを止めます。

搬入の前に、進入の経路と荷降ろしの場所を確かめておきます。道路の使用に許可が要る場合は、その手続きの時間も見込みます。

作業の方法を決める

作業の方法は、現場の条件によって追加の措置が要ります。

  1. 作業半径内に人が入る場面があるか はい立入禁止の措置と誘導者 いいえ次へ
  2. 運転者から死角になる範囲があるか はい誘導者を配置する いいえ次へ
  3. 複数の機械が同時に動くか はい経路と時間帯を分ける いいえ次へ
  4. 傾斜地や軟弱地盤か はい路盤の整備と敷鉄板 いいえ計画どおりに進める

1つでも当たれば、追加の措置を計画に書き込む

作業の方法を決めるときの確認

どれか1つでも当たれば、その措置を計画に書き込みます。

掘削の順序を決める

どこから掘り、どこへ土を寄せるかを決めます。順序を決めていないと、掘った穴に自分が閉じ込められる形になります。

そのため土を積む位置と、ダンプが入る位置も一緒に決めます。

合図の方法を統一する

手による合図か、無線かを決めます。同じ現場で複数の会社が入る場合、合図の方法をそろえます。

逆に会社ごとに違う合図を使うと、意味が伝わりません。

積込みの位置を決める

ダンプが停まる位置と、旋回の向きを決めます。運転席の後ろを通る形にすると、死角に入ります。

そのうえ積込みのたびに位置が変わらないよう、目印を置きます。

運転者と作業の担当を分ける

運転する人が、荷の玉掛けや誘導も兼ねる場面があります。そのつど運転席を離れることになり、手順が乱れます。

人数が確保できる現場では、役割を分けておきます。分けられない場合は、機械を止めてから移る手順を書いておきます。

立入禁止と誘導者の配置

立入禁止の示し方によって、実際に守られる度合いが変わります。

  • 物理的に区画する 100バリケード・単管
  • 誘導者を配置する 75常時の監視
  • カラーコーンで示す 45入れてしまう
  • 口頭で伝えるだけ 15守られない
立入禁止の方法と、実際に守られる度合いの目安

物理的に入れない形にするのが、最も確実な方法になります

誘導者の役割を書いておく

何を見て、どう合図するかを計画に書きます。「誘導する」だけでは、何をするのかが決まりません。

誘導者が他の作業を兼ねると、監視が途切れます。

誘導者の立ち位置

運転席から見える位置に立ちます。運転者から見えない場所にいると、合図が届きません。

機械の旋回の範囲の外に立つことも決めておきます。

やむを得ず立ち入る場合

配管の接続などで、作業半径内に人が入る場面があります。そのときは機械を止め、運転者と合図を交わしてから入ります。

その手順も計画に書いておきます。

天候による中止の基準を決める

雨で地盤が緩めば、走行そのものが危険になります。どの程度の天候で作業を止めるかを、計画に書いておきます。

判断する人も決めておきます。決めていないと、その場で作業を優先する判断になりがちです。

重機作業計画の周知と記録

重機作業計画は、周知の記録まで含めて1組になります。

  1. 1 計画を作る 3つの事項を定める
  2. 2 元請に提出 他社との調整
  3. 3 朝礼で周知 運転者と周囲の作業者へ
  4. 4 図面を掲示 経路と範囲を示す
  5. 5 記録を残す 周知した日と対象者
重機作業計画は、周知の記録まで含めて1組になる

流れの最後にある周知の記録が、抜けやすい部分です

周知の相手を絞らない

運転者だけでなく、その周囲で作業する人にも伝えます。機械の近くを通る他社の職人も対象です。

朝礼で伝えれば、その場にいる全員に届きます。

記録に書く項目

周知した日と、伝えた内容、対象になった人を残します。朝礼の記録に欄を作れば、そこで済みます。

書類を増やさずに残せる形にします。

計画を変えたら伝え直す

機械を入れ替えたり、経路を変えたりしたら、あらためて伝えます。最初の1回だけでは、変更が届きません。

掲示している図面も差し替えます。

夜間や休工日の駐機を決める

作業が終わった機械をどこに置くかを決めます。通行の妨げにならず、いたずらされにくい場所を選びます。

キーを抜いて施錠し、傾斜地では車止めを置きます。駐機の場所も、図面に描き込んでおきます。

重機作業計画で起きやすい災害と防ぎ方

災害の型ごとに、計画で書いておく内容が決まります。

災害の型起きる場面計画で書いておくこと
はさまれ・巻き込まれ旋回中の機械と壁の間作業半径内の立入禁止
接触後進する機械と歩行者誘導者の配置、経路の分離
転倒傾斜地、軟弱地盤路盤の整備、敷鉄板
転落法肩、開口部の近く作業位置と離隔の確保
落下物吊り上げ作業の下用途外使用の禁止

書き方によって、実行できるかどうかが変わります。

計画で防げない書き方

  • 安全に作業する
  • 周囲に注意する
  • 合図を確実に行う
  • 無理な作業をしない

計画で防げる書き方

  • 作業半径5.5m内は単管でバリケードを設置
  • 後進時は誘導者が運転席から見える位置に立つ
  • 走行の勾配は10度以内、超える箇所は敷鉄板
  • 法肩から2m以内には機械を寄せない
数字と物で書くと、実行したかどうかが見える

「注意する」は行動ではないため、計画に書いても実行が確かめられません

用途外の使用を書かない

バックホウで荷を吊る形は、原則として認められていません。計画にその使い方を書くことはできません。

吊る必要があるなら、クレーンを手配します。

主たる用途以外の使用の例外

作業の性質上やむを得ない場合や、安全な作業の遂行上必要な場合に、限られた条件で認められる扱いがあります。

その条件を満たすかどうかは、事前に確かめます。

運転位置から離れるとき

バケットを地上に下ろし、原動機を止めてから離れます。少しの間でも同じ扱いです。

計画に書いておくと、朝礼でも伝えられます。

計画の様式を社内で1つにする

現場ごとに様式を作り直すと、書く項目が変わります。社内で1つ持ち、現場の情報だけを入れ替える形にします。

過去の計画を見ながら作れるため、書く時間も短くなります。元請から様式を指定された場合は、そちらに合わせます。

重機作業計画と他の書類のつながり

同じ機械の情報が複数の書類に出るため、1か所を直したら全部を見ます。

つながる書類揃えるところ
持込機械等使用届機械の名称、型式、機体重量
作業手順書作業の順序、合図の方法
作業間連絡調整書他社との経路と時間帯の調整
資格・特別教育の管理表運転者の技能講習修了証
車両系建設機械の定期自主検査記録機械の状態

逆に食い違っていると、どれが実際の状態なのか分からなくなります。

書類が食い違っている

  • 作業計画と使用届で型式が違う
  • 手順書と合図の方法が違う
  • 運転者が計画に書かれていない人
  • 定期自主検査の記録が無い

揃っている

  • 機械の情報が1つに統一されている
  • 合図の方法が同じ
  • 運転者と資格が対応している
  • 検査記録が添付されている
同じ機械の情報が複数の書類に出るので、1か所を直したら全部を見る

機械を入れ替えたときに、書類を全部直すという運用が要ります

資格の確認を先に済ませる

運転する人が、その機械に必要な技能講習を修了しているかを確かめます。機体重量によって、必要な資格が変わります。

修了証の写しを、計画とあわせて出す形が広く見られます。

定期自主検査を確認する

車両系建設機械には、定期自主検査の定めがあります。リースで入れる機械でも、記録を確かめます。

検査が切れている機械を入れると、その時点で問題になります。

工事が終わるまで保管する

計画と周知の記録は、その工事が終わるまで保管します。災害が起きたときに、何を定めていたかを示す資料になります。

工事の書類と一緒にまとめておきます。

そのうえで機械の点検記録も、計画とあわせて綴じておきます。

始業前の点検の記録が、日々の状態を示します。

検査の期限が近い機械は、工期の途中で切れないかも確かめます。

様式は車両系建設機械等 作業計画テンプレートからダウンロードできます。作業の手順は作業手順書、機械の届出は持込機械等使用届にまとめています。

よくある質問

小型の重機でも作業計画は必要ですか。

車両系建設機械に当たるものであれば、大きさにかかわらず作業計画の作成が求められます。機体重量3トン未満のものも対象です。ミニバックホウやミニローダーを使う工事でも、計画を作ってから作業を始める形になります。

作業計画は毎日作り直す必要がありますか。

作業の場所や方法が変わらなければ、同じ計画を続けて使えます。掘削の位置が移動した、経路が変わった、別の機械を入れたといった場合は、その内容に合わせて作り直す形になります。

誘導者は資格が要りますか。

誘導者そのものに資格は定められていません。ただし合図の方法をあらかじめ定め、その方法を誘導者と運転者が共有していることが求められます。誰が誘導するかを作業計画に書いておくと、当日の役割がはっきりします。

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