建設業の誓約書|安全衛生と再下請負の書き方

公開 2026年9月1日

目次8項目

安全書類の中で、誓約書は内容を読まずに押印されがちな1枚です。そこに書かれているのは、現場で実際に確認される約束です。

一般には、安全のきまりを守ることを約束する安全衛生誓約書と、無断で下請に出さないことを約束する再下請負に関する誓約書の2種類があります。この2つは約束する相手も内容も違うため、まとめて1枚にはできません。

ポイントはここです。建設業の誓約書は、安全のためのものと体制のためのもので、約束する内容が違います

ここでは、2つの誓約書に書くこと、出す時期、そして施工体制とのつながりを順に整理します。

建設業の誓約書とは何を約束する書類か

建設業の誓約書は、安全のための約束と体制のための約束に分かれます。

安全衛生誓約書

  • 安全のきまりを守る
  • 保護具の着用と点検
  • 教育の実施
  • 作業員全員に関わる

再下請負に関する誓約書

  • 再下請負の扱いを約束
  • 無断で下請に出さない
  • 体制の報告を守る
  • 会社の関係に関わる
安全のための約束と、体制のための約束に分かれる

左は現場に入る全員に関わる話で、右は会社どうしの関係の話です。どちらも元請が現場を統括するために求めます。

元請が体制を把握するために求める

そのうえで、元請には、現場全体の安全と施工の体制を把握する立場があります。そのために、下請の各社から約束を取ります。

書類として残しておくことで、後から確かめられる形になります。

様式は現場ごとに違う

元請や発注者によって、様式が違います。盛り込まれている項目も少しずつ変わります。

様式の指定がある場合は、指定された様式が優先されます

記載事項はおおむね共通する

様式が違っても、書く内容の中心は変わりません。会社の情報、工事の情報、約束する事項、日付と署名です。

そのため会社の情報をまとめておけば、どの様式でも使えます。

期間を区切った誓約になっているか見る

その工事の期間だけを対象にしているのか、取引が続くかぎり有効とする内容なのかを確かめます。

継続の形になっている場合、工事が終わっても約束は残ります。どちらなのかを読んだうえで署名します。

建設業の安全衛生誓約書に書くこと

安全衛生誓約書は、守る・備える・知らせるの3つが柱になります。

  • 守る現場のきまりと法令
  • 備える保護具と資格
  • 知らせる事故と異常の報告
安全衛生誓約書は、守る・備える・知らせるの3つが柱

保護具と資格は、現場で実際に確認されます

書面で約束しても、入場のときに現物が確かめられます。

項目内容実務での確認
法令と現場のきまり守ることを約束受入教育で説明を受ける
保護具の着用保護帽と安全帯など入場時に確認される
資格の保有作業に必要な資格作業員名簿と照らす
教育の実施送り出しと受入記録の提出を求められる
事故の報告速やかに知らせる連絡先を確認しておく
立入禁止の遵守区画された場所掲示で示される

保護具の基準を確認する

現場によって、求められる保護具の基準が違います。墜落制止用器具の種類や、保護帽の規格が指定される場面があります。

署名する前に、その基準を満たす保護具があるかを確かめます。

資格の一覧を手元に持つ

作業に必要な資格を、誰が持っているかを一覧にしておきます。作業員名簿を作るときに、そこから転記できます。

資格の一覧があると、配置の判断もその場でできます

送り出し教育の記録を用意する

自社から現場へ送り出す前に行う教育の記録を求められます。実施した日と内容、受けた人の名前を残します。

現場での受入教育とは別のものです。

受入教育で説明を受ける

現場に入る初日に、その現場のきまりの説明を受けます。誓約書で約束した内容が、そこで具体的に示されます。

立入禁止の場所や、火気を使う手続きが対象になります。受けた記録は現場に残りますが、自社でも控えておきます。

建設業の再下請負に関する誓約書に書くこと

誓約書は、再下請負通知書の前段に立っています。

  1. 1 契約 元請と請負契約を結ぶ
  2. 2 誓約書 再下請負の扱いを約束
  3. 3 再下請負の承諾 出す場合は事前に
  4. 4 再下請負通知書 会社の情報を出す
  5. 5 施工体制台帳 元請が体制に反映
誓約書は、再下請負通知書の前段に立っている

誓約書で約束したうえで、実際に出す場合は承諾を得るという順序です。

無断で下請に出さないことを約束する

自社が請け負った工事の一部を、さらに別の会社に出す場合があります。そのとき元請に知らせずに出すと、体制の把握ができなくなります。

事前に承諾を得る形を約束するのが、この誓約書です。

再下請負がない場合も出す

自社だけで施工する場合も、誓約書の提出は求められます。再下請負がない場合はその旨を明記すると、差し戻しが起きません。

途中で状況が変わったら、その時点で承諾を得ます。

一人親方の扱いを確認する

一人親方に手伝ってもらう場合、それが再下請負にあたるかどうかは契約の形によって変わります。

現場によって扱いが違うため、着工前に確かめておきます。

建設業の誓約書と一緒に求められる書類

安全書類は、会社・人・機械の順に求められます。

  • 会社の書類誓約書・再下請負通知書
  • 人の書類作業員名簿・新規入場者調査票
  • 機械の書類持込機械等使用届
安全書類は、会社・人・機械の順に求められる

会社の書類が受理されないと、人の書類も進みません。そのため契約の直後に会社の分を済ませます。

会社の書類から順に出す

誓約書と再下請負通知書は、人が決まっていなくても出せます。先に出しておけば、入場の直前に慌てません。

作業員名簿は、入る人が決まってから作ります。

提出の一覧をもらう

現場によって求められる書類の種類が違います。着工の段階で一覧をもらい、それをチェックリストにします。

一覧をもらうと、後から追加を求められることが減ります。

一式をまとめて保管する

提出した書類の控えを、現場ごとにまとめます。現場ごとにまとめて保管すると、次の現場での準備にも使えます。

提出の期限を確認する

入場の何日前までに出すかが決まっている現場があります。期限を過ぎると、その日は入場できません。

書類の不備で差し戻されることも見込んで、期限より前に出します。初めて入る現場では、余裕を多めに取ります。

建設業の誓約書を出す時期

建設業の誓約書は、安全書類の中でも早い段階で出す書類になります。

  • 契約の締結 1 最初の段階
  • 誓約書の提出 2 契約の直後
  • 再下請負通知書 3 体制が固まってから
  • 作業員名簿 4 入る人が決まってから
  • 入場 5 受入教育を受けて
書類を出す順序(早い順に番号で比較)

人が決まっていなくても提出できる点が、他の書類と違います。

契約の直後に出す

契約を結んだら、そのまま誓約書も出します。時間が空くと、着工の直前にまとめて書類を作ることになります。

契約の手続きの一覧に、誓約書の提出を入れておきます。

工期が延びたら再提出を確認する

工期が大きく延びた場合、書類の再提出を求められることがあります。現場に確かめておきます。

年度をまたぐ工事では、その扱いも聞いておきます。

会社の情報が変わったら出し直す

商号や所在地、代表者が変わったら、書類も出し直します。古い情報のままだと、施工体制台帳とも食い違います。

変更の届出を出したときに、進行中の現場も確かめます。

誓約の内容を作業員にも伝える

書面に署名するのは会社ですが、守るのは現場に入る一人ひとりです。約束した内容を、送り出し教育の場で伝えます。

保護具の基準や、立入禁止の扱いが対象になります。伝えていないと、現場で指摘を受けてから知ることになります。

そのうえ書類の様式が現場ごとに違っても、中身の説明は同じ形で足ります。

建設業の誓約書と施工体制の関係

誓約書の約束が守られると、体系図が実態と合います。

  1. 1 誓約書 無断で出さないと約束
  2. 2 承諾 出す場合は事前に
  3. 3 再下請負通知書 下請の情報を出す
  4. 4 施工体制台帳 元請がまとめる
  5. 5 施工体系図 現場に掲示する
誓約書の約束が守られると、体系図が実態と合う

逆に約束が守られないと、体系図に載っていない会社が現場に入ります。

体系図に載らない会社を作らない

現場に入っている会社が体系図にないと、災害が起きたときに責任の所在が分かりません。入場の前に、体制の書類に載せます。

急な応援でも、同じ手順を通します。

階層が深くなると把握が難しくなる

二次、三次と階層が深くなるほど、元請から見えにくくなります。階層が深くなるほど、誓約書の約束が意味を持ちます

自社が二次の立場でも、三次に出すときは同じ手順が要ります。

変更が出たら体制の書類も直す

工事の途中で会社が入れ替わることがあります。そのつど再下請負通知書を出し、体制の書類を直します。

現場の掲示も差し替えます。

控えを電子で持つ場合も、現場ごとのフォルダに分けておきます。

紙と電子が混ざると、提出の履歴を追えなくなります。

前の現場の控えを見ながら作ると、記入の時間も短くなります。

建設業の誓約書でつまずきやすいところ

建設業の誓約書は、守れない約束を残さないために署名の前に読みます。

  1. 約束する内容を読んだか はい次へ いいえ項目を1つずつ確認する
  2. 守れない項目がないか はい次へ いいえ現場に相談する
  3. 再下請負の予定があるか はい承諾の手順を確認 いいえその旨を明記する
  4. 会社の情報が最新か はい提出できる状態 いいえ登記の内容と照らす

4つを通してから署名すると、あとで守れない約束が残らない

誓約書に署名する前の確認

とくに2つ目を飛ばすと、守れない約束をしたまま現場に入ることになります。

守れない項目は先に相談する

求められている保護具や資格を満たせない場合があります。署名してから相談するのではなく、その前に伝えます。

代わりの方法があるか、期限までに整えられるかを話し合います。

会社の情報を最新にする

商号や代表者、許可番号を登記の内容と照らします。古い情報で出すと、体制の書類とも食い違います。

会社の情報をまとめた1枚を持っておくと、そこから転記できます。

押印の要否を確認する

押印を求められる場合と、署名で足りる場合があります。電子で提出する現場では、また扱いが変わります。

提出の方法とあわせて確かめておきます。

社内で誰が署名するか決めておく

代表者の署名を求められる場合と、現場の責任者で足りる場合があります。現場ごとに確かめると、そのつど時間がかかります。

社内で誰が署名するかを決めておくと、書類がすぐ回ります。代表者印が要る場合の手続きも、あわせて決めておきます。

建設業の誓約書を毎回作らない形にする

建設業の誓約書の中身は、使い回せる部分と毎回変わる部分に分かれます。

  • 会社の情報 5毎回同じ内容
  • 約束する事項 4現場ごとに少し違う
  • 工事の情報 2毎回変わる
  • 日付と署名 1提出のたびに
誓約書の中身のうち、使い回せる割合

工事の情報と日付だけを差し替える形にすると、記入が短時間で済みます。

会社の情報をまとめた1枚を持つ

商号、所在地、代表者、許可番号、社会保険の加入状況をまとめます。安全書類のどれを作るときも、そこから転記できます。

内容が変わったら、その1枚を直します。

提出した現場を記録する

どの現場にいつ何を出したかを記録します。同じ元請から再び依頼を受けたときに、前回の内容が使えます。

追加を求められた書類も、そこに書き足します。

電子での提出に備える

安全書類を電子で受け付ける現場が増えています。使う仕組みが指定される場合もあります。

登録や操作に時間がかかるため、着工前に確かめておきます。

様式は安全衛生誓約書テンプレート再下請負に関する誓約書からダウンロードできます。体制の書類は再下請負通知書にまとめています。

よくある質問

誓約書は現場ごとに出すのですか。

現場ごとに出す形が一般的です。工事の内容や体制が現場ごとに違うため、同じ会社でも改めて提出を求められます。会社の情報は変わらないため、様式を用意しておくと記入の手間は小さくなります。

再下請負がない場合も誓約書は要りますか。

再下請負に関する誓約書は、再下請負を行わない旨を約束する形で求められることがあります。再下請負がない場合も、その旨を明記して提出する運用が広く使われています。現場の指示を確認しておくと迷いません。

誓約書に押印は必要ですか。

現場の運用によって変わります。押印を省く運用が広がっている一方で、押印を求める現場も残っています。提出の前に確認しておくと、差し戻しが起きません。

関連するテンプレート

関連する記事