施工計画書の書き方|総合と工種別の分け方

公開 2026年8月23日

目次8項目

前の工事の施工計画書を流用し、工事名と日付だけを差し替えて出す。そのまま承諾されることもありますが、書かれている仮設や経路は前の現場のものです。

一般には、工事全体の方針を示す総合施工計画書と、工種ごとの進め方を示す工種別施工計画書の2つに分かれます。どちらも着工の前に出して承諾を受ける形になり、承諾を受けてから作業に入ります。

ポイントはここです。施工計画書は、工事をどう進めるかを発注者と共有する文書として読まれます

ここでは、2つの種類、書く項目、他の計画書との違い、そして提出と変更の進め方を順に整理します。

施工計画書が求められる理由

発注者や元請は、この計画で工期・品質・安全が確保できるかを判断します。着工してから問題が見つかると手戻りが大きくなるため、事前に確かめる仕組みになっています

  • 2種類総合と工種別に分かれる
  • 着工前提出して承諾を受ける
  • 変更時出し直す
施工計画書でおさえる3つ

このうち変更時の出し直しが、後から抜けやすい部分になります。

発注者との合意の材料になる

そのため、どう施工するかを事前に共有しておけば、着工後の認識の差が減ります。発注者の側で心配な部分があれば、その段階で指摘されます。

そのやり取りを経て承諾されると、その内容が工事の前提になります。

現場の段取りの土台になる

計画書に書いた仮設の配置や工程が、そのまま現場の段取りになります。週間工程表や作業手順書も、ここから落ちていきます。

そのため書きぶりが具体的なほど、現場で使えます。

流用すると現場と合わなくなる

工事名と日付だけを差し替えると、地形や周辺の状況が前の現場のまま残ります。現場が変われば、仮設も搬入経路も安全対策も変わります

現地を見てから書く

図面と仕様書だけで書くと、周辺の条件が反映されません。搬入の経路、隣接する建物、通学路の有無は現地でしか分かりません。

見てきた内容を仮設計画と安全の章に落とします。写真を添えると、読む側にも状況が伝わります。

施工計画書の2つの種類

施工計画書は、総合と工種別で対象も時期も分量も違います。

総合施工計画書工種別施工計画書
対象工事全体個々の工種
時期契約後すみやかにその工種の着手前
内容全体の方針、体制、工程施工の方法、品質、安全
作る人元請の現場代理人元請または専門工事業者
分量30〜50ページ程度5〜20ページ程度

出す順序も決まっていて、総合を先に出します。

  1. 1 契約 工事の受注
  2. 2 総合施工計画書 全体の方針を提出
  3. 3 承諾 発注者・元請の確認
  4. 4 工種別施工計画書 各工種の着手前
  5. 5 着工 承諾を受けてから
施工計画書は、この順に出していく

総合施工計画書に書く項目

工事の概要、実施体制、工程、仮設、安全衛生、品質、環境をひととおり書きます。工事全体をどう進めるかの地図になります。

細かい施工の方法は、工種別のほうに回します。

工種別施工計画書に書く項目

その工種の施工の方法、使う材料と機械、品質の確認、安全の措置を書きます。専門工事業者が作る場合もあります。

着手の前に出せばよいため、工事の途中で作る工種もあります。

分量を工事の規模に合わせる

小規模な工事で30ページの計画書を作っても、読まれません。規模に合わせて、必要な項目に絞ります。

工事の規模に合わせると、書く側も読む側も負担が減ります

施工計画書に書く主な項目

施工計画書に書く項目は、概要から緊急時の体制まで9つに分かれます。

項目書く中身
工事概要工事名、場所、工期、請負金額、発注者
実施体制現場代理人、主任技術者、下請の構成
工程計画全体工程表、月間・週間の計画
仮設計画仮囲い、足場、仮設事務所、電気・水道
施工方法工種ごとの進め方
安全衛生管理体制、教育、点検、緊急時
品質管理検査の項目、頻度、記録
環境管理騒音、振動、粉じん、廃棄物
緊急時の体制連絡先、災害時の対応

同じ項目を並べても、具体の度合いで現場での使われ方が変わります。

中身の薄い施工計画書

  • 「安全に配慮する」で終わる
  • 工程表が全体1枚だけ
  • 仮設の図面が無い
  • 検査の時期が書かれていない
  • 連絡先が会社名だけ

使える施工計画書

  • 危険と対策が対で書いてある
  • 月間・週間まで落ちている
  • 仮設の配置図がある
  • 検査の項目と時期が表になっている
  • 担当者名と携帯番号がある
同じ項目でも、具体の度合いで現場での使われ方が変わる

右側は、どれも現場で開いて使える形になっています

実施体制は氏名と資格まで書く

会社名だけでなく、現場代理人と主任技術者の氏名を書きます。資格の種類と番号も添えます。

途中で代わったら、変更の届出とあわせて計画書も直します。

工程計画は3段階で持つ

全体工程表だけでは、日々の動きが決まりません。月間と週間まで落として持ちます。

計画書には全体を載せ、月間と週間は現場で回します。

仮設計画は図面で示す

仮囲い、足場、資材の置き場、事務所の位置を図面に描きます。言葉で書くより、配置が一目で分かります。

搬入の経路もあわせて描き込みます。

環境の章に近隣対応を書く

騒音や振動が出る作業の時期と、その対策を書きます。近隣へのあいさつをいつ行うかも、あわせて書いておきます。

作業できる時間帯の約束も、ここに書いておきます。現場に入る各社が、同じ前提で動けるようになります。

施工計画書と安全衛生計画書の違い

似た内容が出てくる書類がいくつかあるため、対象で分けて考えます。

  1. 工事全体の進め方を示すものか はい施工計画書 いいえ次へ
  2. 安全衛生の目標と計画を示すものか はい安全衛生計画書 いいえ次へ
  3. 個々の作業の順序を示すものか はい作業手順書 いいえ次へ
  4. 重機の能力と経路を示すものか はい重機作業計画 いいえ仕様書で確認

4つは対象が違うので、重なっても別々に作る

どの計画書を作るかの判断

4つは対象が違うため、内容が重なっても別々に作ります。

安全衛生の部分は両方に出る

施工計画書にも安全衛生の章があり、安全衛生計画書もあります。どちらにも同じ内容が出ることになります。

そのため片方を直したら、もう片方も見る形にしておきます。

参照でつなぐ

同じ内容を2か所に書くと、片方だけが古くなります。詳しい内容は一方に書き、もう一方からは参照する形にします。

参照する先の書類名を明記しておきます。

提出先が違う場合がある

施工計画書は発注者へ、安全衛生計画書は元請へ出す場面があります。求められる相手と時期を、着工の段階で確かめます。

提出先を先に確かめると、作り直しになりません

緊急時の連絡先は個人名まで書く

会社名だけでは、夜間や休日に連絡がつきません。担当者の氏名と携帯番号まで書きます。

救急、消防、警察、発注者、近隣の窓口を並べます。現場事務所に掲示する形にもしておきます。

施工計画書の提出と承諾

施工計画書は、提出の時期によって承諾までの余裕が変わります。

  • 契約後すぐ提出 100承諾までの余裕がある
  • 着工2週間前 70実務で多い
  • 着工1週間前 40修正の時間が無い
  • 着工後に提出 10契約違反になることも
提出の時期と、承諾までの余裕の目安

公共工事では、承諾を受けてから着工することが仕様書に定められている場合があります

承諾に要する期間を見込む

出してすぐ承諾されるとは限りません。指摘を受けて修正し、再提出する時間も見込みます。

初めて取引する発注者では、余裕を多めに取ります。

指摘を受けやすい項目

仮設の配置、安全の措置、品質の確認の頻度で指摘が出やすくなります。過去に指摘された内容を一覧にしておけば、先に手を打てます。

同じ発注者からは、似た指摘が出ることが多くあります。

承諾後の保管

承諾された版を、工事の書類として保管します。変更した場合は、変更後の版もあわせて残します。

どれが最新かが分かるよう、版の番号を付けておきます。

電子で提出する場合の形式を決める

計画書を電子で提出する現場が増えています。どの形式で出すか、容量の上限があるかを確かめます。

図面を含めると容量が大きくなります。分割して出す必要があるなら、その構成も先に決めておきます。

施工計画書を変更したとき

施工計画書は、変わった内容によって出し直す範囲が決まります。

変わったもの対応
工期変更工程表を添えて提出
施工方法該当する工種別施工計画書を出し直す
使用する材料品質管理の項目とあわせて提出
実施体制技術者の変更届とあわせて提出
仮設の配置図面を差し替えて提出

変更は、協議から周知までの流れで反映します。

  1. 1 変更の発生 設計変更・条件の相違
  2. 2 協議 発注者・監理者と
  3. 3 計画書の修正 該当部分を書き直す
  4. 4 提出・承諾 変更後の版を出す
  5. 5 周知 現場の関係者へ
変更は、この流れで計画書に反映する

流れの最後にある周知が、抜けやすい部分です

変更の履歴を残す

いつ何をなぜ変えたかを、1行で残します。後から確認を受けたときに、経緯を示せます。

版の番号と対応させておきます。

部分的な差し替えで済ませる

全体を作り直すのではなく、変わった章だけを差し替えます。差し替えた日と、差し替えた範囲を書いておきます。

そのほうが、読む側も何が変わったかが分かります。

現場での周知を記録する

計画書を直しても、現場に伝わらなければ作業は変わりません。朝礼で伝え、その記録を残します。

掲示している図面も差し替えます。

目次と通し番号を付ける

30ページを超える計画書では、目次がないと探せません。章ごとに番号を振り、ページにも通し番号を入れます。

指摘を受けたときも、どのページの話かがすぐ伝わります。差し替えるときの範囲も、番号で示せます。

施工計画書を早く作る工夫

ひな形を持つかどうかで、着工前の負担が変わります。

毎回時間がかかる作り方

  • 前の工事のファイルを探すところから始める
  • 工種ごとの書きぶりが担当者で違う
  • 図面を毎回引き直す
  • 指摘された点を覚えていない

短く済む作り方

  • 会社のひな形を1つ持っている
  • 工種別のひな形が工種の数だけある
  • 仮設の図面の書き方を統一している
  • 過去の指摘を一覧にしている
ひな形を持つかどうかで、着工前の負担が変わる

ひな形を整えるのは工事の合間にしかできない作業になります

会社のひな形を持つ

総合と工種別のひな形を、会社で1つずつ持ちます。毎回作る部分と、そのまま使える部分を分けておきます。

新しい担当者でも、同じ水準のものが作れます。

変える部分に印を付ける

ひな形の中で、現場ごとに変える箇所に印を付けます。そこを埋めるだけで形になります。

印のない部分を書き換える場合は、その理由も残します。

過去の指摘を蓄える

承諾のときに受けた指摘を、一覧にして残します。次の工事では、その部分を先に整えて出せます。

発注者ごとに分けておくと、さらに使えます。

使用する材料の一覧を持つ

主要な材料の名称と規格を一覧にします。品質の証明書を求められる材料も、そこで分かります。

材料を変更するときは、この一覧と品質管理の章を直します。納品時に受け取る書類も、あわせて決めておきます。

施工計画書を引渡しまでつなげる

施工計画書は、着工前・施工中・竣工時の3つの時点で使われます。

  • 着工前計画を立てて承諾を受ける
  • 施工中計画どおりか確認する
  • 竣工時実績を完成図書にまとめる
施工計画書は、この3つの時点で使われる

3つのうち、施工中の確認が抜けやすい部分です

品質管理の記録とつなげる

計画書に書いた検査の項目と頻度が、実際に行われているかを確かめます。記録の様式も、計画書の項目に合わせておきます。

食い違っていると、竣工時にまとめられません。

工程の実績を残す

計画した工程と、実際の進み方を並べます。遅れが出た時期とその理由を残します。

次の工事で似た工種を組むときの材料になります。

完成図書にまとめる

計画書、変更の履歴、品質と工程の記録を1組にします。引渡しの書類として渡す場合もあります。

工事のあいだ何をどう進めたかが、そこに残ります。

竣工後の保管の年数を決める

施工計画書は、工事の書類として保管します。住宅の新築工事では、営業に関する図書として長く残す対象になります。

年数の違う書類と同じ箱に入れないようにします。表紙に期限を書いておけば、廃棄の判断がその場で付きます。

電子で保管する場合も、書き出して残す形にしておきます。

様式は施工計画書テンプレートからダウンロードできます。工程は工事工程表、品質の記録は品質管理記録にまとめています。

よくある質問

施工計画書と作業手順書はどう違いますか。

施工計画書は工事全体をどう進めるかを示すもので、作業手順書は個々の作業をどの順でやるかを示すものです。施工計画書が上位にあり、その中の各作業について手順書が作られる関係になります。両方を求められる現場が多くあります。

小さな工事でも施工計画書は必要ですか。

法令で一律に義務づけられているものではありませんが、公共工事では仕様書で提出が求められることが一般的です。民間工事でも、発注者や元請が提出を求める場合があります。工事の規模に応じて、項目を絞った簡易な形にすることもあります。

施工計画書はいつまでに出せばよいですか。

着工前が原則です。公共工事では、契約後すみやかに総合施工計画書を提出し、各工種の着手前に工種別のものを出す形が広く行われています。承諾を受けてから着工する流れになるため、承諾に要する期間も見込んでおく形が確実です。

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